人権問題 深センと上海ですでに始まっているらしい

中共が市民のスマートフォンを無差別検査

2024/05/10
更新: 2024/05/10

中国共産党(中共)政府はこのたび、安全機関が「法の執行」と称して行う活動に、新たな2つの規則を公表した。これにより、国家安全部の個人の電子機器を調査する権限が拡大した。今年の7月からこの規則が適用される。最新の報道によると、深センと上海の税関ではすでに、入国者のスマートフォンやノートパソコンを無作為に検査する新たな措置が取られている。

中共政府による市民の監視が、一層厳しくなっている。5月7日、深センから香港へ戻った蔣(しょう)さんは、ラジオ・フリー・アジアのインタビューで、先週末に福田出入境検査場で自分の後ろにいた女性が税関職員によってスマートフォンを検査されているのを目撃したと証言した。

蔣さんは、最近南京や杭州の空港でも同様の経験をしたと話し、空港の職員がスマートフォン内のデータや写真をチェックしていたと述べた。その日、女性は事前にスマートフォンのデータを整理し、特にデリケートな情報を消去していたそうだ。

上海市民の邵さんも、最近日本から上海に戻る際、空港で税関職員が男性のスマートフォンを検査しているのを目撃したと報告している。

米国在住の時事評論家、唐靖遠氏:「この措置は、実際には複数の意味を含んでいます。国家安全部が最近打ち出したいわゆる転覆覇権主義分裂主義テロリズムスパイ活動に対抗する『五つの反対運動』と補完関係にあります。これは実質的に一連の対策です。つまり、これは中共が、名目上国家安全を強化する手段としていますが、実際には、市民の情報の自由な流通を大幅に制限する措置です。言い換えれば、これは情報流通の分野で中共が取り入れた政権維持の重要な措置であり、主な目的は、外部からの情報流入をできるだけ遮断することです」

この前、4月26日に、中共の国家安全部は「国家安全機関の安全行政執行手続き規定」と「国家安全機関が刑事事件を処理する手続き規定」を発表し、7月1日から施行すると宣言した。

元北京の弁護士であり、カナダ民主連盟の会長である頼建平氏:「現在、中共は内憂外患の状況に直面しており、この独裁政権は前例のない危機に遭遇しています。このような状況下で、彼らは社会生活のあらゆる分野のコントロールを強化せざるを得ず、またそれしかできません。目的は市民社会の自由な空間をさらに縮小し、すべての人を中共の厳しい統制の元で生活させることです。人は、思考、心、言論、行動において自由が許されていません」

中共の新しい規定では、「緊急事態の下で、市の行政区以上の国家安全機関の承認を得た場合、執行人員は市民の携帯電話やノートパソコンなどの電子機器をその場で検査することができる」としている。しかし、この規定は緊急事態の具体的な定義を明確にしていない。

唐靖遠氏:「実際、社会を戦時体制に導く強い動きが見られます。この種の検閲は、中共が過去に行った鎖国政策へと、事実上ある程度戻っているようです」

中共の新規則は中国国民だけに適用されると明記しているのではありません。外国人が中国に入国した際、中共の国家安全機関によるスマートフォンやコンピュータの検査を受ける可能性があります。

唐靖遠氏はさらに:「これは『私の土地では私がルールを作る』というメッセージを送っており、私の影響下にあるところでは私が決める、ルールは私が作るという意思表示です。現在の国際ルールや慣習を無視し、それに挑戦しているのです」

数年前から、北京や上海の公安当局は、街中や地下鉄内で市民の携帯電話の検査を行うようになった。

上海の住民、周氏:「私の携帯電話は、強制的に取り上げられ、内容を調査されました。私が行ったのは、生活に関する情報の共有だけでしたが、警察に出頭するよう命じられました。多くの警察官が現れ、私は抵抗しました。法的な根拠がないこと、そして手続きが不当であることを訴えましたが、それに対してさらに多くの警察官が呼ばれました」

賴建平氏は、中共の新しい規則が、市民の反感を買っていると指摘した。

賴建平氏:「基本的にこのような手法は、人々の反感や抵抗感情が増幅するだけです。現代人は、基本的な常識を持っており、このような行為が中共の法律、憲法、さらには国際法や国連の人権協定に違反していることを理解しています。しかし、一般市民は現時点で抵抗する力を持っていないと感じています。結果として不満が蓄積していき、共産党の正統性は徐々に損なわれていくでしょう」

また、賴建平氏は、中共が採用する極端な政策による市民コントロールは効果がありません。結果的にさらに強い反発を引き起こすと指摘しています。