日本政府は、パキスタンにおけるポリオ根絶に向けた取り組みへの継続的な支援の一環として、必要不可欠な経口ポリオワクチンを調達するため、UNICEFに5億1,600万円の無償資金協力を行うことを発表しました。
日本政府は、パキスタンにおけるポリオ根絶に向けた取り組みへの継続的な支援の一環として、必要不可欠な経口ポリオワクチンを調達するため、国連児童基金(UNICEF)に5億1,600万円の無償資金協力を行うことを発表しました。本資金協力により、2024年のポリオ予防接種キャンペーンに使用される、2,100万回分以上のワクチンが調達されます。
パキスタンは世界で野生株ポリオが根絶されていない2カ国のうちの一つです。2023年、パキスタンでは6件の症例が報告されました。ポリオの感染は国内の数カ所に限られており、パキスタン政府とパートナーは子どもたちの命を脅かすこの疾病を食い止めるため、2024年に計画されている野心的な活動を開始する準備を進めています。全国規模で展開される予防接種キャンペーンは同国の4,400万人以上の5歳未満児を対象にしており、女性を中心とする37万人以上の最前線の保健員が、ポリオの予防接種を展開するために重要な役割を果たしています。
パキスタンのナディーム・ジャン保健大臣は、「困難な状況ではありますが、パキスタンは来年中にもポリオを根絶させるべく、絶え間ない努力を続けていきます。2024年のポリオ・キャンペーンに向けて準備を進める中、すべての子どもに支援を届けるために立ちはだかる残された課題の解決に向けて、パートナーと力を合わせて取り組みを続けていきます。」と述べました。
加えてナディーム・ジャン保健大臣は、「日本政府の揺るぎないご支援は、ポリオの感染をゼロに近づけるための大きな力となっています。 パキスタンにおけるポリオ根絶を達成するための日本政府と国民の皆様の継続的なご支援に、心より感謝いたします。」と語りました。
伊藤毅在パキスタン・イスラム共和国日本国臨時代理大使は、昨年のポリオウイルスの感染防止における大きな成果に感謝し、「ポリオ根絶のための活動を行う最前線の保健員や行政当局の献身的な取り組みに、心より敬意を表します。」と語りました。また、パキスタン政府によるポリオの根絶に向けた明確で力強いコミットメントの重要性を強調し、「日本は予防接種の促進を通じて、ポリオの根絶という最終目標に向けた取り組みを続けていく決意を新たにします。」と述べました。
この度の新たな資金協力は、1996年以降続いている、日本政府によるポリオ根絶事業に対する継続的な支援の一環として供与されました。日本政府はパキスタンにおけるポリオ事業に対して、UNICEFを通じてこれまでに約2億4,216万米ドルの支援を行っています。
JICAパキスタン事務所の原毅次長は、「すべての子どもたちが必要不可欠な予防接種を確実に受けられるようにするための、パキスタン政府の総力を挙げた取り組みを高く評価いたします。親たちやコミュニティの理解と最前線の保健員の努力によって、子どもたちの免疫を高める最も効果的な方法であるワクチンが効果的に活用されると確信しています。今年実施されるすべてのポリオ予防接種キャンペーンが成功し、ポリオの症例がゼロになることを心から願っています。」と述べました。
UNICEFパキスタン事務所でポリオ事業責任者を務めるメリッサ・コーカムは、「2023年の報告症例数は2022年に比べて少なくなっており、私たちは今、前進と後退の岐路に立たされています。6件という症例数は、あまりにも多すぎます。それはつまり、6人の子どもたちが生涯にわたってポリオの影響を受け続けるということなのです。日本政府と国民の皆様の寛大な支援のもと、本日私たちはポリオのない世界を実現するための決意を新たにしました。命を守るワクチンをすべての子どもたちに届けるため、一歩も後退することなく、着実に前進していきます。」と語りました。
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参考情報:ポリオはウイルス性の非常に感染性の高い疾患で、主に5歳未満の子どもに影響を与えます。ウイルスが神経系を侵すことで、麻痺や死亡の原因となります。ポリオには治療法がないため、ワクチンがこの深刻な疾病から子どもたちを守る唯一の有効な手段です。5歳未満の子どもたちはポリオワクチンを繰り返し接種することでより強固に感染から守られます。このような繰り返しの予防接種が、これまでに何百万人もの子どもたちをポリオから守り、世界中の多くの国でポリオを根絶させてきました。
■UNICEFについて
国連児童基金(UNICEF)は、すべての子どもの権利と健やかな成長を促進するために活動する国連機関です。現在190以上の国と地域※で、多くのパートナーと協力し、その理念を様々な形で具体的な行動に移しています。特に、最も困難な立場にある子どもたちへの支援に重点を置きながら、世界中のあらゆる場所で、すべての子どもたちのために活動しています。
※UNICEF国内委員会が活動する33の国と地域を含みます
※UNICEFの活動資金は、すべて個人や企業・団体からの募金や各国政府からの任意拠出金で支えられています
■UNICEF東京事務所
UNICEF東京事務所は、ニューヨーク本部直轄の国連機関事務所として、日本政府からの政府開発援助(ODA)による資金協力や、国会議員、国際協力機構(JICA)、非政府組織(NGO)等との連携を促進しています。
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