外務省はこのほど、北海道で確認されたイワシの漂着とALPS処理水の海洋放出との関連を示唆する一部英メディアの報道に対し、訂正を行うよう在外公館を通じて申し入れを行ったと明らかにした。北海道函館市の海岸では、大量のイワシなどが打ち上げられ、市は処理のために重機を投入している。
小林外務報道官は13日の会見で、イワシの漂着は急な水温低下によって引き起こされると水産庁の見解を引用し、ALPS処理水の海洋放出が原因であるとの主張は根拠がないと述べた。また、処理水放出後、水産庁と環境省はそれぞれ水産物と海水のモニタリングを実施しており、異常な数値は検出されていないと強調した。
このほか、報道を行った海外メディアに対して既に在外公館から申し入れを行っており、科学的根拠に基づかない報道は不適切であると指摘。誤解が生じるような報道に対しては、適切な説明と対処を行う意向を示した。
英紙「デイリー・メール」は9日、日本が「放射性水(Radioactive Water)」を海に排出してから3か月後に大量の魚が打ち上げられたとし、処理水と生態系への影響についてエビデンスを示さずに報じた。関連の動画の視聴回数は数百万回におよぶ。
福島県議会の渡辺康平議員は「デイリーメールの内容酷すぎる」、「処理水を巡る英文報道に対する日本としてのカウンターが必要」と対処策の必要性を訴えた。
同紙の「放射性水(Radioactive Water)」という表現は国際原子力機関(IAEA)とも乖離している。今年7月、IAEAは日本の放出計画はIAEA安全基準と一致していると結論付けた報告書の中で、「処理水(Treated Water)」と表現した。
日本の事案 ネガティブに結びつけ
処理水放出をめぐっては、中国共産党も日本に対して科学的根拠のない政治宣伝を繰り広げている。また、8月のAPLS処理水放出以降、中国本土のネット空間では、処理水と関係のない健康被害まで処理水放出に結びつけようとする書き込みが見られている。
11月、大阪府摂津市の住民の血液から高濃度の化学物質「PFAS(ピーファス)」が検出された。報道が出ると、中国のSNS「微博(ウェイボー)」ユーザーたちは、すかさず処理水との関連を取り上げた。
しかし、化学物質PFASは消火剤やフライパン、防水服など多様な製品に使用される化学物質だ。地下水に対する汚染は福島原発のALPS処理水放出前から始まっており、そもそもPFASに放射性はない。
中国共産党の意図的な対日世論工作や水産物の禁輸措置が続くなか、日本大使館は情報発信を強化させ、中国語での発信を通して中国語話者に訴えかけている。
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