文京区で臓器狩りポスター展 夏休み最終日、親子連れで作品鑑賞

2023/09/01
更新: 2023/09/01

中国共産党が組織的に行う臓器狩り問題について、世界各国のアーティストたちが作成した啓発ポスターの展示会が、27日から31日まで文京シビックセンター(東京)で開かれた。会場には夏休み期間中に家族で来場する親子連れの姿も見られ、国際的な人権問題に関心を寄せた。

「びっくり、信じられない。こんなことが起こなわれているなんて」ーー。臓器狩り問題について認知はしていたが、改めてその残忍さに衝撃を受けたと、都内の男性(50代)は語った。

人体を金銭に取って代える中国の臓器移植ビジネス。人権団体の試算によれば、中国の臓器移植ビジネスの規模は年間1兆円といわれる。中国当局は「世界一移植大国」を掲げ発展を目指すも、ドナーの出所や不透明なままだ。良心の囚人がドナーにされているとの報告が相次ぐなか、国連人権専門家は第三者組織の国際調査受け入れを中国政府に求めるも、中国側はこれを拒んでいる。

第三者委員会が国際人権問題を裁定する「民衆法廷」によれば、臓器狩りの最大の犠牲者は、20年以上に渡り中国共産党の弾圧政策に苦しむ法輪功学習者だ。「迫害の問題はかねてより認知している」と前出の男性は述べ、「この不当な移植手術で得た金銭は一体どこへ行くのか」と憤りを見せた。

夏休み最終日となる31日に会場を訪れた家族連れに話を聞いた。看護師の母親(30代)は「国際問題、人権問題にも関心を持ってもらいたい」と小学6年生の息子を連れて鑑賞。彼は自動販売機をモチーフにしたポスターに関心を抱いたという。ボタンを押せば簡単に手に入るという自販機の仕組みを、中国の移植産業に例えた作品だ。「臓器移植が必要としている人がいる。でも、無実の人のものだとすれば、やっちゃいけないことだと思う」と所感を語った。

展示されたポスターは、日本と台湾、韓国が共催した2020年開催の国際ポスターコンクールの受賞作品30点あまり。世界70カ国の計1049点の応募の中から選ばれた。展示会は、北海道、広島、福岡、神奈川などを経て11回目を数えた。

臓器移植と人権、倫理問題をテーマにした英国の人気ミステリー小説を彷彿とさせると、小学校勤務の女性(70代)は語った。「子供の裸に傷の残る作品にはショックを受けた」と、銀賞受賞作品で日本人アーティストのポスターを指差した。「まさか人の臓器をボンボン取ってしまうようなことがあるなんて」「移植医療は大切です。でも、これ(中国渡航移植)は人の命を足蹴にして日本に帰ってくるようなことです」と吐露した。

長崎から東京都に来ていた女性(70代)は、「平和、対話の時代にこんな臓器取引が行われているとは」と驚きを隠せない様子だ。「注文に応じた臓器提供」をテーマにしたポスターに強い印象を受けたという。人体から臓器を摘出する人道犯罪を表すポスター展は「まさに闇のなかでやっている悪事を表している」とアーティストたちの表現力を称えた。

臓器移植が必要な難病を抱えた息子を、10年前に亡くしたという60代の女性。息子の病をきかっけに、ドナーの出所が不明である臓器狩り問題を知ったという。「中国で手術移植を受けた後で『知りませんでした』では、手術を受けた側も救われない話です。どんどん知られてほしい。伝えていくべき問題です」と啓蒙活動に支持を示した。

展示会主催団体の井田さんはボランティアで草の根運動を続けている。「海外にいる中国人や同志の者が臓器狩り問題を懸命に伝えている。中国国内にいるものは声を上げることはできない。日本政府や議員は国際社会の一員として、広報や議会や通じて、日本国民にもっとこの問題を訴えてほしい。私たちが日々接する『そんなことは知らなかった』という人が、どうかいなくなるように」と熱を込めた。

ポスター展は日本で巡回展示を続けている。今後の予定は次のとおり。埼玉県朝霞市の朝霞市産業文化センターで9月29日から10月1日まで、浦和市の市民活動サポートセンターで11月19日から25日まで、東京に戻り江東区文化センター展示室で12月4日から6日まで。

日本の安全保障、外交、中国の浸透工作について執筆しています。共著書に『中国臓器移植の真実』(集広舎)。