[シンガポール 2日 ロイター] – 北大西洋条約機構(NATO)高官は2日、シンガポールで始まったアジア安全保障会議(シャングリラ会合)で、中国は世界的な大国として透明性を向上させる責任があるとし、同国に対し核兵器の増強について一段の情報開示を呼びかけた。
NATOのアンガス・ラプスリー事務総長補(防衛政策・計画担当)は、中国の軍備増強の規模とペースには驚くべきものがあるとし、「世界的な大国として透明性向上に向けた責任がある」と指摘。NATOにはこの問題について中国と対話を行う用意があると述べた。
その上で、中国には軍備を近代化し拡大する権利があるとし、米英仏などの核保有国を抱えるNATOはこの地域に干渉したいのではなく、関与したいと説明。「米中対話を代替することはできないが、NATOは対話に前向きだ」と述べた。
ラプスリー氏は米国防総省が2022年11月に発表した年次中国報告書に言及。同報告書は、中国は核開発計画を加速させ、400以上の実用核弾頭を保有していたと指摘。中国が軍備の完全近代化を目指す2035年までに保有する核弾頭の数は1500に増えるほか、高度なミサイルも保有する可能性が高いとした。
中国は1960年代初頭から核兵器を保有。習近平国家主席の下で軍事近代化を進めているが、「先制不使用」を公約に掲げ、抑止力として少数の核弾頭とミサイルの保有を維持している。
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