中国製港湾クレーンは「スパイツール」…米下院、中国対抗法案を発表

2023/05/11
更新: 2023/05/11

米下院の超党派議員は10日、中国製の港湾クレーンの使用を制限する法案を発表した。セキュリティリスクの検査を政府機関に義務付ける内容などを含む。議員らは声明で「クレーンは中国共産党のスパイツールになり得る」と警鐘を鳴らした。

法案は共和党のカルロス・ヒメネス議員と民主党のジョン・ガラメンディ議員が共同提出した。中国共産党の不当な影響力に対抗するため、外国製クレーンのセキュリティ検査のほか、既存または新たに建設された外国製クレーンがもたらす脅威を評価するよう、サイバーセキュリティ・社会基盤安全保障庁に義務付ける。

ヒメネス氏は声明で「中国共産党は競争相手ではなく、米国と地政学的利益を積極的に損なう敵対的国家だ」と指摘。法案はこうした国からの「サイバー攻撃や侵害から米国の港を守ることを保証する」と意義を強調した。

ガラメンディ氏も「外国のサイバー攻撃や産業スパイから米国の港を守ることは、党派の問題ではない」とし、中国共産党の脅威を米議会で排除する必要性を訴えた。

ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は3月、中国製のクレーンは精巧なセンサーを備えており、輸出入データを追跡するなど中国政府のスパイツールになっている可能性があると報じた。疑惑の目が向けられているのは、クレーン世界最大手の上海振華重工(ZPMC)の港湾クレーンで、報道によれば米港湾で操業しているクレーンの約8割を占めている。

ZPMCは、「一帯一路」構想の主要な請負業者の中国交通建設(CCCC)の子会社でもある。米当局は2020年、中国当局の軍民融合計画への関与を理由に、CCCC子会社5社を輸出管理対象とする「エンティティリスト」に加えた。

近年、メリーランド州ボルチモアやバージニア州ノーフォークなど近くに米軍基地がある港湾で新たにZPMC社のクレーンを購入しており、安全保障上の懸念が取り沙汰される。米国の防諜当局の幹部を務めたビル・エバニナ氏も「クレーンは新たなファーウェイになり得る」とWSJの取材で指摘していた。

米国をはじめ国際関係担当。
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