厚生労働省の薬事分科会は21日、人工妊娠中絶のための飲み薬「メフィーゴパック」の製造販売を許可した。いっぽう、妊娠中絶薬の利用が広がる米国では規制を唱える声も多く、法廷闘争は最高裁まで及んでいる。
米連邦最高裁は21日、経口中絶薬「ミフェプリストン」の使用制限を命じたテキサス州連邦地裁の判決を覆した。政府と製薬会社の訴えを認め、訴訟が継続する間は利用可能だと判じた。保守派のクラレンス・トーマス判事とサミュエル・アリト判事は反対意見を述べた。
ミフェプリストンは米食品医薬品局 (FDA)によって2000年に承認された中絶薬で、「ミソプロストール」と併用し、妊娠10週(日本では9週)までの妊婦を対象とする。
FDAによる承認後、中絶薬を用いた妊娠中絶の件数は増加の一途をたどり、2022年時点では54%に上った。
米国では妊娠中絶に反対する市民団体が、ミフェプリストンの安全性には問題があるとして、FDAの承認に異議を唱えている。18歳未満の少女が妊娠中絶を行う際のリスクを十分に検証していないとして、テキサス州地裁に提訴した。
トランプ前大統領が在任中に指名したテキサス州地裁のマシュー・カズマリク判事は今月7日、中絶薬による心理的影響や、生殖機能が未発達な少女への影響が検証されていないとして、使用に制限をかけた。
いっぽう、その約1時間後に、オバマ元大統領が在任中に指名したワシントンDCの連邦のトーマス・ライス判事は、ミフェプリストンの使用を認める判断を下した。
日本で導入予定のメフィーゴパックはミフェプリストンとミソプロストールを組み合わせた薬剤の販売名である。NHKによると、「メフィーゴパック」が承認されれば国内では初の経口中絶薬となり、手術以外の選択肢が増えるという。
また、読売新聞の報道によると、厚労省は当面、中絶薬を服用する際は入院や外来での院内待機を必須として母体の安全管理を徹底するという。
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