米大統領首席医療顧問として感染症対策に取り組んできたアンソニー・ファウチ博士は22日、12月に退任する意向を表明した。同氏は「現職を退くが引退はしない」と述べ、培ってきた経験を活かし「次のキャリアを追求する」としている。
ファウチ氏は首席医療顧問のほか、米国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)の所長とNIAID免疫制御研究所長を退任する。同氏は声明で「将来の感染症の脅威に備え、次世代の科学的リーダーを育成していく」と述べた。
現在81歳のファウチ氏は、NIAID所長としての過去38年間、歴代7人の大統領のもとでエイズやエボラ出血熱、ジカ熱などの感染症対策に取り組んできた。トランプ前大統領やバイデン大統領のもとでは、中共ウイルス(新型コロナ)対策を指揮した。2008年には、当時のブッシュ大統領から「大統領自由勲章」を授与されている。
バイデン米大統領は「ファウチ博士の仕事に対する姿勢は揺るぎなく、比類なき精神力とエネルギーを持っている」「米国だけでなく、世界中の人々の命が救われた」と感謝の意を示した。
いっぽう、11月に行われる中間選挙で共和党が上院または下院で多数派を獲得すれば、パンデミック政策で調査が行われるとされており、ファウチ氏は追及を避けるために退任するとの指摘もある。
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