[パリ 12日 ロイター] – 欧州宇宙機関(ESA)は、米実業家イーロン・マスク氏が率いるスペースX社との間で暫定的な協議を始めた。ロシアのウクライナ侵攻の影響で西側諸国がロシアのロケット「ソユーズ」を利用できなくなっており、協議はESAによるスペースXの打ち上げ用ロケットの一時的な使用につながる可能性がある。
スペースXはソユーズの穴を埋めるロケットの主要候補に浮上。他に日本やインドのロケットも検討されている。ただ、最終決定は、実用化が遅れている欧州宇宙大手アリアンスペースの次世代ロケット「アリアン6」の今後のスケジュール次第となる。
ESAのアッシュバッハー長官は12日までにロイター通信に対し、「われわれが協議している選択肢は二つ半ある。一つはスペースXで、それは明確だ。もう一つは日本になる可能性がある」と述べた。
「日本は次世代ロケットの初打ち上げを待っている。いま一つの選択肢はインドかもしれない」と説明した上で、「私見では、スペースXはこれらの中でより使用可能な方だと思う」との認識を示した。
ただ、いかなる代替ロケットの使用も一時的だと強調。アリアン6の将来を心配していないと付け加えた。
欧州はこれまで打ち上げ用ロケットとして、小型貨物はイタリアの「ベガ」、中型貨物はソユーズ、大型はアリアン5を使ってきた。次世代「ベガC」は7月に初打ち上げに成功。アリアン5とソユーズを置き換える予定のアリアン6は初打ち上げが来年に延期された。 長官は、アリアン6のスケジュールが10月までにより明確になるとの見方を示した。
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