中国、元公安部次官を調査 かつて米国で違法な公務執行

2022/03/14
更新: 2022/03/14

中国共産党中央規律検査委員会(中規委)国家監察委員会は12日、国家安全部(省)元幹部で公安部(省)の元次官である劉彦平氏(67)について、「重大な規律違反と違法行為の疑いがある」として、調査を行っていると発表した。収賄罪などで失脚した孫力軍元公安次官の勢力に対する習近平政権の取締りの一環とみられる。

劉彦平氏は、北京市公安局副局長などのポストを経て、公安部警衛局の副局長、局長などに昇進した。2011年8月、公安部長(長官)補佐、公安部党委員会の委員に起用され、13年6月に公安次官に任命された。

同氏は15年に情報機関である国家安全部の規律委員会書記(後に中規委の駐国家安全部規律検査組長、中規委国家監察委員会の駐国家安全部規律検査監察組長との名称になった)に赴任した。19年9月には、中規委巡視組の組長となった。

劉氏は、習近平政権の反腐敗キャンペーンで摘発された公安部の元次官であった李東生氏、孟宏偉氏、傅政華氏と関わっていたとみられる。

米紙ウォール・ストリート・ジャーナル17年10月22日の報道によると、同年5月、国家安全部の劉彦平・規律委員会書記と公安部の孫力軍次官ら4人は米国に入国し、中国を逃れて米国に亡命した中国人富豪の郭文貴氏と面会し、同氏の中国帰国を要求した。

報道によると、劉氏らはニューヨークにある郭氏の自宅に入り、数時間滞在した。劉氏らは、郭氏が中国高官のスキャンダルを暴露することをやめ、帰国するよう説得しようとした。郭氏が応じなければ、中国国内の資産を凍結し、同氏の家族への嫌がらせを続けると脅迫したという。それでも郭氏は劉氏らの要求を拒否した。

報道は情報筋の話として、劉氏ら4人の入国ビザは米国内で公務執行してはならないと定めていたと伝えた。米連邦捜査局(FBI)が4人の動きを監視し、郭氏との面会を阻止したが、4人はその2日後に郭氏と会った。ニューヨーク市のブルックリン区地検はビザ詐欺罪と強要罪の疑いで劉氏らを起訴した。

ただ、当時、米政府内で起訴について意見が割れ、最終的にFBIの捜査員は(中国行きの)飛行機が離陸する前に劉氏らの携帯電話を没収することにとどまり、高官らを拘束しなかった。

大紀元コメンテーターの岳山氏によると、劉彦平氏は17年に米国から中国に帰国した後、共産党第19期中央規律検査委員会の委員を罷免された。米国での郭氏との会話が密かに録音され、音声がネット上に投稿されたためだ。

中国共産党内の江沢民派の中心人物である曽慶紅氏と周永康氏は長い間、公安部と国家安全部を牛耳っていた。

岳氏は、劉彦平氏は、共産党中央政治局委員で党中央政法委員会書記を務めた孟建柱氏の抜てきで公安部、国家安全部の高官に昇任したと指摘した。孟氏は江沢民派メンバーである。20年4月に当局に拘束された孫力軍氏は、孟氏の秘書を務めていた。公安部は当時、孫氏が逮捕された後、声明で「周永康、孟宏偉、孫力軍らが残した弊害を取り除くべきだ」と主張した。 

習近平氏は過去数年間、警察や司法などを担う政法部門における江沢民派勢力の排除に力を入れてきた。中規委は15年、国家安全部の馬建次官を「重大な規律違反と違法行為の疑い」で取り調べていると発表した。18年、中国の地裁は収賄罪などで、馬氏に無期懲役を言い渡した。

岳山氏は「馬建氏が摘発されて以降、7年ぶりで国家安全部の高官が取り締まりされたのは劉彦平氏だけだ」との見方を示し、政法部門における習政権の取締りはしばらく続くとした。

(翻訳編集・張哲)