昨年12月、中国・上海で50代の邦人男性が当局に拘束された事件について、松野官房長官は17日午前の記者会見で「さまざまなレベルや機会を通じて当該邦人の早期解放を強く求めている」と述べた。
松野長官は、昨年12月、中国当局から上海の日本総領事館に対し、50代の邦人男性が中国の国内法違反で拘束されたとの通報があったことを明らかにした。中国当局からは、邦人男性は健康状態に問題があるとの連絡は受けていないという。
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そのうえで、「総領事館より中国側に対し領事面会の実施を求めているところだ。今後とも邦人保護の観点から、家族との連絡など、できるかぎりの支援を行っていく」と述べた。
いっぽう、2015年に拘束され、18年に懲役12年の判決を受けて中国で服役中だった70代の邦人男性が2月7日、北京市内の病院に搬送され、病気のため死亡したことも明らかになった。
松野長官は「政府としては、当該邦人の病状に鑑み、累次にわたり人道上の観点から早期帰国を認めるよう中国側に強く働きかけてきた。それにもかかわらず、今回、同邦人が帰国できないまま死亡に至ったことは誠に遺憾であり、その旨を中国側に抗議した」と発言した。
外国人が中国で「スパイ」容疑をかけられ、恣意的に拘束される事案がたびたび起きている。2018年に伊藤忠商事の日本人男性従業員が「国家の安全に危害を与えた罪」で実刑判決を受けている。2019年には北海道教育大学の袁克勤元教授が母親の葬儀のため中国に一時帰国した際、スパイ容疑をかけられ拘束された。有罪判決のもととなる具体的な行為については明かされていない。
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