中国の人権問題に触れる「彭帥はどこ?」と書かれたTシャツを全豪オープンの試合会場で着用することを禁止する措置について、豪州テニス協会(TA)は25日に撤回した。言論を抑えこんでいるとして、著名テニス選手を含め非難の声があがっていた。全豪OPは17日から30日までメルボルンで開催中だ。
中国の女子テニス選手の彭帥氏は昨年11月、中国共産党の張高麗元副総理から性的暴行を受けたと自身のSNSで告発。その後しばらく公の場から姿を消した。北京冬季五輪を控えるなか、スポーツ選手に対する中国共産党体制の圧力に国際社会が視線を注いだ。
豪メディアによると、全豪OP主催側が23日に「彭帥はどこ?」と書かれたTシャツを禁止したのは「いかなる政治的な声明も掲示してはいけない」とのルールに抵触したためだという。この措置について、四大大会で通算18勝を挙げている著名女子テニス選手のマルチナ・ナブラチロワ氏はツイッターで「ひたすら哀れだ」とTAを批判した。
豪ゴードン・ダットン国防相は25日、「この問題(告発者の行方不明)は政治的な問題ではなく、人権問題だ」とスカイ・ニュースで述べた。さらに同氏は、中国共産党が性的暴行疑惑について公的な調査を行ってないことに懸念を示した。
昨年12月、国際オリンピック委員会(IOC)のバッハ会長は彭氏とビデオ通話して「無事を確認」と発表した。女子テニス協会(WTA)会長兼最高経営責任者のスティーブ・サイモン氏は「彭選手の安否をめぐる懸念は解消できない」と不信感をあらわにした。WTAは中国で実施されるすべての大会の中止を発表している。
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