大紀元日本は2021年、時事記事を3000本あまり掲載しました。日本時事編集部の視点で記事をピックアップしました。
見送られた対中非難決議 地方から正義の姿勢示される
ウイグル人の強制収容キャンプ、香港の国安法成立、台湾に対する軍事圧力の増加など、日本世論では中国人権侵害に対してこれまでになく目が向けられた年だった。6月までの国会では対中非難決議の採決の機運が高まったものの、政党間の調整は付かず12月の臨時国会でも同決議案は見送られることとなった。
9月の自民党総裁選挙では4候補ともに中国人権問題に取り組む積極的な姿勢が覗かれた。自民党の政権公約で明言された人権補佐官設置が岸田政権で実現。政府も国連条約に基づき、人権とビジネスの観点から企業に対して人権デューデリジェンスの取り組みを呼びかけている。
国防費GDP2%以上、ハイブリッド戦に備え法整備…自民党公約 安全保障と外交
経産省、日本企業のサプライチェーンにおける人権取り組みを初調査 7割が人権方針策定
政府や議会にその声を届けるため、迫害を経験する在日の少数民族団体や気功法・法輪功の学習者たちなどは国会前や国連大学前における集会やパレードを通じて、行動を起こすよう訴えを続けている。弾圧を経験した彼らの言葉から、中国共産党の非人道性が垣間見える。
日本の法輪功学習者 東京で反迫害パレード 迫害停止を訴える
「今国会中に非難決議の成立を」民族団体らが国会前で集会
「私たちにも生きる権利がある」国際女性デー前に悲痛な訴え
中国人権問題に声をあげる地方議会は増加している。ウイグル協会の調べによれば少なくとも今年80の地方議会で同問題に言及する意見書が可決した。地方議会議員117人は7月、中国臓器狩りの調査を求める陳情書を衆議院議長に提出している。各地方議会の意見書は、中国共産党の臓器収奪に対する国連人権報告官の懸念表明や、ウイグル人迫害に関する欧米主要メディアの報道、北京冬季五輪ボイコット運動の高まりなどについて言及している。
「中国臓器狩りの調査を求める」117人の超党派地方議員が衆議院議長に陳情書
大阪府議会や宮城県議会などで中国人権問題をめぐる意見書可決
こうしたなか、中国大使館から地方議員に対して「態度をあらためるよう」要求があったことが地方議員たちへの取材で明らかになった。専門家はこうした外交官の行動は日本の内政干渉にあたり「ペルソナ・ノングラータ(好まれざるもの)」として国外追放処分に相当するのではないかとの分析もしている。
【重大】中国大使館、日本の地方議員に圧力 内政干渉で「国外追放になりうる」=専門家
日本を取り巻く安全保障環境 台湾情勢にも熱視線
令和3年防衛白書によると、中国については国防政策や軍事に関する不透明性もあいまって、日本の「安全保障上の強い懸念」と表現。極東アジアへのコミットメントを示す欧米主要国からの動きもみられた。英国、フランス、オランダ、ドイツ、EUなどは相次ぎインド太平洋戦略を発表。英国は過去数十年の間で最大規模の空母打撃群を展開し、晩夏から秋にかけては日本を含む同盟国や友好国との共同訓練を重ねた。米英豪の戦略枠組み「オーカス(AUKUS)」も発表され豪州への原子力潜水艦提供が計画されている。
欧州主要国が米国やインド太平洋地域の提携諸国と協力を図り、中国共産党の拡張主義を牽制し、連帯感を示した。さらには、新型コロナウイルスで露呈したサプライチェーン途絶リスクに対処するうえで、日米豪印4カ国枠組み「クアッド(QUAD)」首脳会談では半導体や医療資源など戦略物資の供給網の強靭化に動いている。
英国の重点はインド太平洋に 英空母打撃群は関係国と連携深める
中国の攻撃的行動により掻き立てられたインド太平洋利害関係国の議論
こうしたなか、10月には中露海軍艦艇10隻が軍事演習を行い日本を周回、11月は両軍の共同飛行も行い日本に対する示威行動を見せた。日本周辺の中露共同活動は定期的になるとの見方もあり、日本は防衛費増加と即応態勢の強化が喫緊の課題であるとの認識が高まっている。
日本をぐるりと航海する中露艦隊…前例のない行動に危機感示す専門家「日本は本気でやってくる相手に対処できず」
緊張の度合いが増す台湾海峡問題についても、日本と台湾の政府以外の連帯が強まる年でもあった。日台議員間の安全保障協議委員会(2プラス2)が8月と12月の2度開かれ、外交・経済安全保障分野での連携を確認した。日台間の交流促進を目的とした全国の首長有志らによる「日台共栄首長連盟」も12月23日に発足した。マスクやワクチンなどコロナ禍における医療資源供与の相互幇助は続き、パイナップルなど果物の中国輸入停止後は日本が輸入を助けた。
迫る台湾有事危機「日本は手をこまねいてはいけない」=専門家
「日台関係法の制定目指す」 全国の首長有志連盟が発足
自民党のみならず台湾や中国、英語圏においてもその発言が注目される安倍晋三元首相は12月、「台湾有事は日本有事、すなわち日米同盟の有事」と定義づけ、中国共産党政権の軍事的冒険を強く牽制した。安倍氏は国内外のイベントで講演しており日本の外交や安全保障分野への言及を増やしている。