韓国メディアは6月、北朝鮮が今冬に採択した党規約の修正内容の一部を報道している。それによれば、北朝鮮は「朝鮮半島の統一を放棄した」という。専門家らは、北朝鮮が武力による統一の意図を隠していると分析して、典型的な言葉による混乱戦術だと警告している。
北朝鮮当局は、1月10日に第8回朝鮮労働党・党大会で採択した決定書により、党規約序文(党の目標)から「民族解放民主主義革命の課業遂行」の一節を、「社会の自主的かつ民主主義的な発展の実現」に変更した。他にも、「祖国を統一」から「祖国の平和統一を早めて」に、「統一的発展を成し遂げるため」から「共同繁栄を成し遂げるため」などにした。
本規約の公開後、ハンギョレなど一部の韓国メディアは、北朝鮮が朝鮮半島の統一革命を放棄し、金正恩・朝鮮労働党第1書記の独裁政治が徐々に緩和しているとの希望的な観測を伝えた。元韓国・統一部長官を務めたイ·ジョンソク氏は2日、マスコミの取材に対して「北朝鮮は、統一を目指すということは正しくなく、韓国の(社会主義に基づく)革命も諦めたのではないか」と述べた。
しかし、専門家らは、従来の北朝鮮の工作から、言葉による印象操作に警戒感を示している。韓国・国家情報院対北朝鮮政策官を務めたクァク·ギルソプ氏は、北朝鮮が使用する「民主主義」とは、国家保安法が廃止され、共産党の活動が受け入れられる国を意味するという。また、「自主」とは、「米軍撤収」を意味すると説明する。クァク氏は、北朝鮮が従来から使ってきた典型的な「言語による混乱戦術」だと強調した。
北朝鮮は6·15南北共同宣言以降、朝鮮半島の統一を成し遂げる方法として、南北関係を通じた内部団結と、米国との外交交渉とを並行した戦略を取ってきた。専門家らは、この2つの戦略が「事実上」通用しないことが、今回の第8回党大会で最終確認され、むしろ、今回の決定書を通じて北朝鮮の対南戦略が「対話」から「軍事力行使」に転換したとみている。
キム・チョンシク元韓国統一部次官は7日、ラジオ・フリーアジア(Radio Free Aisa)とのインタビューで、改正された党規約に「強力な国防力で根源的な軍事的脅威を制圧」という文句が新たに追加された点に注目し、「核兵器で自信を持つ北朝鮮が武力で在韓米軍を押しのけるという意味ではないか」と分析している。
(編集・潤水)
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