ポンペオ前国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春(マイルズ・ユー)氏はこのほど、米中アラスカ会談は中国側の要請で行われたものだと明かした。さらに、北京は米新政権がトランプ政権の対中政策を転換させると期待していたが、その期待が打ち砕かれたため、会談を利用して「騒ぎ立てた」と指摘した。
マイク・ポンペオ(Mike Pompeo)前国務長官の中国政策首席顧問を務めた余茂春(マイルズ・ユー)氏は今年1月、トランプ政権の政権交代で辞任した後、ポンペオ氏と共にワシントンのシンクタンク、「ハドソン研究所(The Hudson Institute)」に所属している。
会談は中共側の懇願、「騒ぎ立て」外交は失敗
18日に行われた米中アラスカ会談の前、中国外務省の趙立堅報道官は「中国側は米国側から両国間上層戦略対話の要請を受けた」と主張していた。
しかし、ユー氏は台湾通信社「中央社」のインタビューで、会談はそもそもは中国側が米国に開催を懇願したものだと述べた。さらに、米中外交トップ会談の数週間前から、北京はすでに米国の対中政策を覆すことが不可能だと知っていたと明かした。
「北京の当初の主な目的は、バイデン政権に前トランプ政権の対中政策を全面的に覆すよう働きかけることだった。しかしバイデン政権は新疆、チベット、台湾、香港、貿易、南シナ海などの重要問題において、基本的に前トランプ政権の政策を継続させている。希望が打ち砕かれた北京側は逆ギレし、アラスカ会談を利用して米国を罵倒し、国内での宣伝効果を狙った」と説明した。
同氏はまた、会談に参加した中国の外交担当トップ、楊潔篪氏はこれまでの「穏やかで、礼儀正しく、質素な」イメージを一変させて戦狼になったのには、間違いなく習近平氏の指示によるものであると指摘した。
ユー氏は米中間のケンカは悪いことではないと考えている。「アラスカで感情を爆発させた中国の言動は、中国の外交の失敗を示した。中共に対して少しでも幻想を抱いていた米国人や各国政府にとっても良い授業となったはずだ」と述べた。
「米国の対中政策は変わらない、共産主義に出口はない」
米中関係の将来について、ユー氏は北京の行動が変わらなければ、どの政党がホワイトハウス入りしても、米国の対中政策は基本的に変わらないと指摘した。
「米国民は中国共産党の統治と米中関係の本質について新たな認識を持つようになった。このことは米国の外交政策にとっては非常に強力な礎と原動力になるだろう」
同氏は世論を反映する米国議会でも、過去数年間に可決された対中関連法案が非常に一貫していることから、議会の対中見解は基本的に一致していることがわかると説明した。
「つまり、政党を問わず、また誰が大統領になろうと、みなこの現実を尊重せざるを得ない」と付け加えた。
ユー氏はバイデン政権がトランプ前政権の対中政策を継続するよう大きな期待を寄せている。
同氏はさらに「もし中国が国際社会のルールを守らなければ、世界でますます孤立することになるだろう」と強調した。
ユー氏は、「共産主義は一種の幻想的な承諾でしかなく、中国では未来がないのだ。その点に関しては中国の人々はみな知っている。共産党内の多くの人々もそれを知っている。しかし、皇帝が服を着ていないという現実を暴く勇気と度胸のある人が誰もいないだけだ」と述べた。
ユー氏は、台湾は非常に健全な社会であり、民主主義のモデルであるとし、「中国人は台湾から学ぶべきだ」と述べた。
ポンペオ氏は辞任する前、米台間の交流制限を解除した。
(大紀元日本ウェブ編集部)