新型コロナウイルス感染症拡大の封じ込め、国境管理、国際犯罪対策、自然災害対策の改善に向けて、ベトナム防衛当局は引き続き東南アジアの近隣諸国に働きかけている。
ベトナムは4510キロに及ぶ自国国境の延長距離の約71%がカンボジアとラオスに接している。ベトナムの2019年国防白書には、両国との密接な歴史的関係および両国がベトナムとの「特別な戦略的関係」を重視している理由が説明されている。
2020年12月4日に開催されたベトナム国防相のゴ・スアン・リック(Ngo Xuan Lich)大将との会談の席で、ラオス国防相のチャンサモーン・チャンナラート(Chansamone Chanyalath)大将は、新型コロナウイルス感染症対策においてベトナム国防省とベトナム人民軍がラオス人民軍を支援し、経験の共有や医薬品の供給を図ったことに言及した。
両国防相は2021年も防衛協力体制の改善を推進して「防衛・安保の安定」と「社会経済的発展」を促進することで合意した。パンデミック対策として感染症の予防・管理を促進することに加えて、協調的な国境管理および麻薬密売などの国際犯罪対策に焦点を当てる構えである。両国はまた、2021年に副大臣による二国間防衛政策対話を開催することでも合意している。
同会談で合意に至った内容は2021年防衛協力協定として両国防相が署名した。
2021年1月8日に開催された仮想会議では、ベトナムのリック国防相とカンボジア国防相のティア・バニュ(Tea Banh)大将が2020年の防衛協力計画の実施を確認している。両国防相は訓練、パンデミックの封じ込め、国境保護、そしてカンボジアで戦死したベトナム兵の遺体捜索と本国送還の取り組みにおける成果を認識し合った。
今後数か月の間に、両国防相は代表団による相互訪問の機会の頻度を高め、国際犯罪と麻薬密輸防止の取り組みを調整することを計画している。
新型コロナウイルス感染症パンデミックだけでなく、世界や地域の安保環境が複雑に変化している時期に防衛会議を成功裏に手配するなど、 2020年にASEAN(東南アジア諸国連合)の議長国を見事に務めたベトナムに対して、バニュ国防相とチャンナラート国防相は賞賛の辞を述べている。
災害管理に関しては、2020年12月6日、ベトナムとラオスは天候予測と自然災害警報に関する協力体制の促進に関する了解覚書(MOU)を締結した。カンボジアのクメールタイムズ(Khmer Times)紙が報じたところでは、2020年7月にベトナムとラオスはカンボジアと共に国境沿いで合同災害救援演習を行う計画を発表している。
演習内容には救援活動のためのヘリコプター、船艇、トラック、救急車の展開準備が含まれる。演習の明確な日付はまだ発表されていない。
(Indo-Pacific Defense Forum)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。