中国電子商取引最大手のアリババ集団傘下金融会社、アント・グループが8月25日、香港と上海の両証券取引所に株式上場を申請した。同社の目論見書によると、江沢民元国家主席の孫、江志成氏が率いる投資会社、博裕資本有限公司(Boyu Capital、以下は博裕資本)がアント・グループの2種類の株式を保有している。
中国経済誌「財新週刊」の最新号によれば、アント・グループは、内部と外部の株主、国内と国外の出資者を区別するため、3種類の株式を発行した。国内の投資者には、一律にA種類普通株式を、海外投資家にはBとCの2種類株式を発行する。そのうち、B種類株式は、「一部の海外内部株主が保有する」。C種類株式は「その他の海外内部株主と海外外部株主が保持する」
BとCの2種類株式には投票権がない。しかし、アント・グループが香港上場を果たした後、BとCの2種類株式は「H株(中国本土で法人登録する会社が香港市場に上場し発行する株式銘柄)の普通株に変えることが可能で、表決権を持つことができる」という。
アント・グループの目論見書は、株主名簿を公開した。これによると、アント・グループには国内の29の法人株主と海外の45の法人株主、計74の法人株主がいる。
また、個人株主には、複合大手の複星集団創業者の郭広昌氏、オンラインゲーム大手の巨人網絡集団の史玉柱・最高経営責任者(CEO)など、中国の著名実業家が多くいる。中国人富豪らは、個人名義、または企業の名義で、アント・グループの株式を保有している。
中には、江志成氏の博裕資本は、北京京管投資中心とGrowth Succession Limitedの2社を通して、アント・グループのA種類株式0.92%とC種類株式1.92%保有している。
ロイター通信と香港メディア「壹週刊」の2014年の報道によると、江志成氏は2010年、米ハーバード大学を卒業した後、米金融大手ゴールドマン・サックスに入社した。同社に9カ月勤務した後、退社し、香港で博裕資本を創立した。同氏は、江沢民一家の特権を利用して、米国と香港の金融市場で巨万の富を得た。2012年、アリババ集団に4億ドル出資した博裕資本は、14年にアリババ集団の米市場上場で出資額の5倍の利益を得たという。
米証券取引委員会(SEC)に登録している「Boyu(博裕)」関連会社は4社ある。4社の私募資金の純資産は計41億米ドルに上る。4社は互いに株式を保有するうえ、博裕資本の共同経営者の傘下企業も一部の株式を持っているため、江志成氏の実際の持ち分はわかっていない。
近年、世界各国の権力者や富裕層による租税回避行為の実態を記録した機密文書、「パナマ文書」や「パラダイス文書」によって、中国第一貪(中国一の汚職王)と呼ばれる江沢民元国家主席とその一族の腐敗ぶりが暴かれた。米国に亡命した中国人富豪、郭文貴氏は2019年4月以来、江一族が海外で少なくとも1兆ドルの資産を持っていると複数回、暴露した。
(翻訳編集・張哲)
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