南米パラグアイ上院、台湾との国交断絶を否決=米誌

2020/05/11
更新: 2020/05/11

台湾国交樹立国である南米パラグアイ上院は4月中旬、台湾との国交断絶について投票が行われた。反対が賛成を大幅に上回り、否決された。

米誌「アメリカ・クォータリー」(Americas Quarterly)5月7日付によると、パラグアイの野党左派連盟、グアス前線(Frente Guazú)の上院議員7人は3月末、パラグアイ政府に対して、台湾との外交関係を断ち、中国本土との国交樹立を求める議案を提出した。議員らは、中国本土との外交強化で、中共肺炎新型コロナウイルス感染症)をめぐって、中国当局から多くの医療物資を獲得できるなどと主張した。

上院(定数45人)は4月17日、臨時本議会を行い、投票を実施した。出席した41名の議員は、反対が25票、賛成が16票で、議案を否決した。

報道によると、議案が否決された翌日に、台湾政府が寄付したマスクなどの医療物資が同国に到着した。同国のフリオ・マソレニ(Julio Mazzoleni)保健相は4月18日、ツイッターに投稿し、「姉妹である中華民国から28万枚のマスクが届いた。今この時、大きな助けになる。遠くて近い!ありがとうございます!」と書き込んだ。

パラグアイは、南米において唯一台湾との国交を維持している国だ。2016年、台湾の蔡英文政権が発足後、中国当局の影響下で、コスタリカやドミニカなどの7カ国の政府が相次いで台湾との外交関係を断絶した。現在、台湾の友好国は、パラグアイを含む15カ国となった。

「アメリカ・クォータリー」誌は、パラグアイは台湾にとって、南米で中国共産党政権に抵抗する「最後の砦だ」との見解を示した。

台湾外交部(外務省)の欧江安報道官は5月8日の記者会見で、パラグアイのグアス前線について、「パラグアイの民意に反して、一貫して中国本土やベネズエラなどの全体主義国家との外交を結ぶよう求めてきた」とし、「中国当局の感染対策に関するプロパガンダの影響を受けて、議案を出したのだろう」とコメントした。

(翻訳編集・張哲)