新型肺炎の発生源である中国湖北省武漢市の各病院では、新型コロナウイルスを診断する検査キットの不足が続いており、患者の大半が検査を受けられないと市民が訴えた。
市の中学校教諭の戢琳(シュウ リン)さんは、夫を看病した際、新型コロナウイルスに感染したとみられる。夫は1月20日から微熱が続いたため、当初は一般的な風邪だと考え、市販の風邪薬を服用していた。23日、武漢市政府が封鎖措置を突如、実施したため、夫婦は新型肺炎に感染した可能性を疑い始めた。
中国政府系メディアが、症状の軽い市民は、交差感染を避け、自宅で自主隔離した方がよいと宣伝したため、夫婦は自宅で様子をみていた。しかし、1月30日になると、戢さんの夫は症状が急激に悪化したため、市の普仁医院でCT検査を受けた。その結果は、肺がすでに白くなったことが判明。31日に呼吸困難に陥った。その時、戢さん自身にも新型肺炎の症状が現れた。
その後、戢さんの家族は夫婦2人を、新型肺炎の指定治療病院である協和医院や同済医院など5つの病院へ連れて行ったが、新型肺炎の感染は確認されなかった。
「5つの病院に、検査キットが足りないから、新型肺炎の確定ができないと言われた」と戢さんの姪が話した。感染確認ができないため、入院ができず、自宅で隔離するしかないという。
「武漢市には、新型コロナウイルスの検査キットが置いてある病院は10カ所しかない。各病院では毎日、ウイルス検査を受けるために市民が長蛇の列を作っている。数千人の患者に対して、病院側は10個、または100個の検査キットしか提供できないのが今の武漢市の現状だ。検査キットをもらえない患者はみな、新型肺炎の感染の疑いがあると診断されている。こういう人たちは、患者の8~9割を占めるだろう」
親族によれば、市内の交通機関がすべて停止されたため、病院へ行くのも一苦労だ。「110番を2時間ダイヤルして救急車を要請しても、なかなか来ない。市の救急車は全部出動していると言われた」
戢さんの家族は、武漢市内は今、「まるでゴーストタウンだ」と話した。
(記者・江楓、翻訳編集・張哲)
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