中国官製メディアと政府高官はこのほど、当局が来年の国内総生産(GDP)成長率目標を6%以下に設定すると相次いで示唆した。中国当局の10月の発表では、第3四半期GDPは前年比6%増と30年ぶりの低水準になった。中国当局は来年3月の全国人民代表大会(国会に相当)でGDP成長率目標を発表する。
中国共産党機関紙・人民日報は10日の記事で、国務院発展研究センターの王一鳴・副主任の発言を紹介した。王氏は、中国のGDP成長率目標が今後6%台に維持されるかどうかについて、「6%は特別な境界線の数字ではない。成長率が少し高くなっても、あるいは少し低くなっても重要な問題ではない」「経済成長の質とその効益を見極めることが重要だ」と6%以下でも容認する認識を示した。
いっぽう、ロイター通信8日付によれば、中国人民銀行(中央銀行)金融政策委員会の劉世錦委員は7日、北京で行われた「第17回中国改革フォーラム」で、2020~25年までの中国GDP成長率は、「過去10%の高速度成長から中速度」である5~6%になる可能性があるとの見方を示した。同氏は、より緩和的な金融政策の実施に否定的な考えを示し「景気刺激政策は今後、経済が崖から落ちるように急激に悪化する要因になるかもしれない」と発言した。
中国著名経済学者で、安信証券のチーフエコノミストを務める高善于氏は、来年以降の経済情勢についてより悲観的な考えを示した。同氏は11月27日、同社の年度戦略会議において講演を行い、中国経済の失速は「まだ続く」と述べた。「2020~30年まで、年平均のGDP成長率が5%を上回ることはないだろう」と予測し、4%台を維持することも難しい状況だという。
海外中国語メディアや香港メディアなどによると、国内インターネット上で、高氏の講演内容が次々と転載されたが、その後同内容と関連投稿は削除された。
中国国家統計局が10月18日、第3四半期のGDP成長率を公表した後、トランプ米大統領は21日の閣僚会議で、中国GDP成長率は「実際にはマイナスであろう」と中国側の発表を疑問視した。
中国GDP統計の信ぴょう性を複数回批判した中国人民大学の向松祚教授は10月18日、ソーシャルメディアに投稿し、歳入と企業利益が大幅に落ち込んでいる現在、6%というGDP成長率は「極めて過大評価された」と主張した。向教授の投稿は同日中に消去された。
(翻訳編集・張哲)
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