中国の新エネルギー車大手の上海蔚来汽車(NIO)が公表した4~6月決算報告では、同社の損失が市場予想を上回り、売上高は前期比で減少した。これを受けて、24日の米株式市場で売り注文が集中し、同社の株価は前日比で一時28%安と急落した。
報告によると、4~6月期の同社の最終損益は32億8500万元(約495億円)の赤字。事前の市場予想は29億4400万元(約444億円)の赤字。昨年同期の61億1000万元(約921億円)の赤字からは改善した。今年上半期の最終損益の総額は59億7000万元(約900億円)だ。
同期の売上高は15億800万元(約238億円)となった。1~3月期と比べて7.5%減少となった。
この影響で米株式市場では蔚来汽車の株価が大幅に下落した。終値は、前日比10.53%安の1株=2.72ドルとなった。
蔚来汽車の上層幹部は中国メディア「第一財経」に対して、同社が生産した電気自動車(EV)である「ES8」モデルが発火したことを受けて、6月に大規模なリコールを行ったことが売上高の減少と赤字拡大の主因だとの見解を示した。
中国メディアによると、4~6月まで、「ES8」モデルのバッテリーに発火や発煙が報告された。同社は6月27日以降、全国で4800台のES8モデルをリコールした。リコールにかかったコストは4億~5億元(約60億~75億円)とみられる。
国内メディアは、蔚来汽車が2014年創業以降、最終損益の累計総額が403億7400万元(約6089億円)に膨らんだと指摘した。
蔚来汽車は2018年9月、米ニューヨーク証券取引所に上場を果たした。過去1年間、同社の株は一時1株=13.8ドルで取引されたこともあった。
創業者で最高経営責任者の李斌氏は、今後、人員削減を実施するとした。「2019年1月時点の9900人から、7~9月期末の7800人までに削減する」という。
ブルームバーグは23日、アナリストの話を引用し、蔚来汽車の収益改善は難しいとの見方を示した。最大の原因は米ライバル企業の中国進出だ。
米電気自動車大手、テスラは中国上海で工場を建設している。10月に同工場での生産を開始する予定だ。テスラは、今年末まで毎週3000台の「モデル3」を生産するとの目標を掲げている。来年はさらに生産台数を増やしていくという。
(翻訳編集・張哲)
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