中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)をめぐって、米政府は過去数年間、同社が中国軍や中国情報機関と緊密な関係にあると批判してきた。ファーウェイ側は否定している。しかし、英外交政策シンクタンク、ヘンリー・ジャクソン・ソサエティ(HJS)が入手したファーウェイ社員の履歴書を分析したところ、ファーウェイが中国当局と強い繋がりがあると結論付けた。
英紙デイリー・テレグラフ5日付によると、HJSがファーウェイ社員の経歴を調査したところ、一部の社員は中国国家安全当局の工作員だったことや、中国当局のネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」に関与したこと、中国軍の軍事学校で訓練を受けたこと、米企業などにサイバー攻撃を仕掛けた中国軍の関係部門で勤務したことなどが判明した。
HJSは5日のツイッターで、「ファーウェイ側の主張に反して、一部の社員は自らの履歴書に、中国国家安全部(MSS)や中国軍のプロジェクトに参与したことがあると示している」と投稿した。
デイリー・テレグラフによると、HJSが入手したファーウェイ社員の履歴書は全部で2万5000人分。履歴書は、ファーウェイの所有権問題を研究するフルブライト大学ベトナム校(Fulbright University Vietnam)の米国人准教授、クリストファー・バルディング(Christopher Balding)氏によって見つけられた。昨年、これらの履歴書は中国の就職情報サイトに掲載された。
准教授は、社員の履歴書はファーウェイと中国当局、軍当局、情報機関当局との間に存在する「システム化かつ構造化した関係」を反映している、と話した。
長年、中国に駐在した英外交官、チャールズ・パートン(Charles Parton)氏は、バルディング准教授らが見つけたファーウェイ社員の履歴書が、中国当局との関係を否定し続けているファーウェイの虚言を暴いたと述べた。
一方、ファーウェイ側はHJSの調査を再び否定し、「ファーウェイは中国当局の軍事プロジェクト、あるいは当局の情報収集に関与していない」とした。
米紙ワシントン・ポスト5日付は、ファーウェイが中国軍との関係を隠すこと自体を最も懸念しなければならないとの見解を示した。
同報道によると、ファーウェイの最高法務責任者の宋柳平氏に関して、ファーウェイ・ウェブサイトの中国語と英語版は、宋氏は北京理工大学でポスドク(博士号取得後に任期付きの研究者に就くこと)として在籍していたと記されている。しかし、他の中国語メディアで検索すると、宋氏は中国軍の高級教育機関、国防科技大学で学士、修士と博士号を取得していたことが分かったという。
同紙は、中国の通信関連企業の大半が中国軍と深い関係にあるため、ファーウェイも例外ではなく軍当局と何らかのつながりがあるとした。また、この関係を隠すのは「誠実ではない」と批判した。
ワシントン・ポストは、宋柳平氏のほかに、中国軍との関係を隠した上級幹部もいるとした。
英紙タイムズは今年4月、米中央情報局(CIA)はファーウェイが中国情報機関当局の資金援助を受けていると指摘したことを報じた。
(翻訳編集・張哲)