中国当局指導部は、冷え込む経済を安定化させるため、投資促進と個人消費拡大に力を入れている。中国国内の研究機関によると、1~3月期で地方政府が発行した地方債は昨年同期比で5倍急増した。
4月17日、中国の李克強首相が国務院常務会議で地方政府の担当者に対して、零細企業の融資コストを昨年の水準からさらに1%下げるよう指示した。
李首相は、民間企業の債券発行による資金調達を支援すると表明したほか、中小型銀行の預金準備率を低水準に維持する政策枠組みの確立などにも言及した。
中国当局は個人消費を刺激する措置も相次いで打ち出した。
中国メディア「第一財経」などの報道によると、中国国家発展改革委員会は、国内自動車販売を促進するため、新車購入制限を緩和し、今年の新車ナンバープレートの交付量もこれまでの5倍にすると決定した。また、来年末まで、中古車取引の増値税の納付を免除するとした。
中国汽車工業協会(CAAM)が12日に公表した3月の国内自動車販売台数は、前年同月比5.2%減の252万台となった。9カ月連続で減少した。
家電製品や電子製品に関しても、市民に買い替えを促すという。省エネやインテリジェント家電を購入する市民に対して、最高額は販売価格の13%相当とし、または家電製品1件当たり800元(約1万3356円)を上限に、補助金を給付する方針。一部の地域では、スマートフォンを買い替える消費者にも補助金を支給するという。
中国当局は、インフラ投資による景気回復を図り、地方政府の債券発行拡大を支持する姿勢を示した。これを受けて、地方債が急速に膨らみ上がった。
中国信用市場調査会社、中債資信評估有限責任会社が15日発表した最新報告書では、2019年1~3月期において、全国37の地方政府が総額1兆4066億元(約23兆5000億円)の地方債を発行したことが明らかになった。前年同期比で540%急増した。
中国独立系シンクタンク、天則経済研究所の蒋豪・副所長は米ラジオ・フリー・アジア(RFA)18日付に対して、投資の促進と内需拡大を目的にした中国側の政策は「中国経済のさらなる下振れ圧力を解消するためだ」と指摘した。
「しかし、根本的な解決案ではない。現在の景気対策には政治的な考量がある。共産党政権の合法性は経済発展の維持に基づいている。中国経済がこのまま失速すれば、中国に大きな社会不安が起きる」
蒋副所長は、民間企業の権益を保護し、市場経済のメカニズムを作用させることが、長期に経済成長を維持する解決案だと強調した。
中国当局は17日、1~3月の国内総生産(GDP)は前年同期比6.4%増と発表した。米紙ニューヨーク・タイムズなどの海外メディアは、事前予想を上回る中国のGDP統計について、当局が主導した信用拡大の結果だとの見方を示した。
(翻訳編集・張哲)
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