米国のペンス副大統領はこのたび、インド太平洋地域における中国の台頭でもたらされる安全保障上の課題に注意を払うよう、北大西洋条約機構(NATO)に呼び掛けた。
ペンス副大統領は4月3日、ワシントンで開かれたシンクタンク主催のNATO創設70周年記念フォーラムで演説し、同地域の平和と安定を維持するために、NATOが米国に協力するよう期待すると述べた。
ペンス副大統領は講演で、NATOが向こう数十年で直面する最大の課題は中国の台頭だと語った。また、NATO加盟国は、南シナ海とインド太平洋地域における最近の「航行の自由作戦」に対して、フランスとイギリスが加わったことに感謝を示した。
副大統領は、日本が掲げた秩序に基づくインド太平洋地域構想に触れた。「私たちは協働することで、自由で開かれたインド太平洋を維持できる。各国の利益追求には、隣国への尊敬と公平があり、それぞれ社会、信条、伝統を並列して繁栄できる。人々が神から与えられた自由を行使し、夢を追い求めることができる」
NATOに加盟する29の国は合わせて10億の人口に達し、世界の国内総生産(GDP)のほぼ半分を占める。
日本の河野太郎外相も4日、4カ国(日中韓印)駐留の4米国大使と会談し、自由で開かれたインド太平洋構想の維持と強化のために、日米の関係強化を確認した。
2日、NATOのストルテンベルグ事務総長は、独紙「シュピーゲル」の独占インタビューに対して、中国の勢力拡大について「影響を考慮することに疑いの余地はない」とした。
また、中国は、米国を除いて世界のどの国よりも軍事に資金を費やしており、「世界のさまざまな地域で使用できる、中距離核戦力(INF)条約に縛られていない新兵器、新型ミサイルなどを開発している」とした。
「NATOが南シナ海方面まで行動を拡大させることとは関係なく、中国はわれわれにますます近づいている。地中海、バルト海、北極で海上作戦を展開している」と危機感をあらわにした。
創設70年を迎えるNATOの従来の役割は欧州と周辺海域を共産国から守ることだった。このためNATO加盟国の複数の軍事関係者は、非常に遠い南シナ海はNATOの優先事項になりにくいとみている。
米保守系シンクタンク・ヘリテージ財団の国家安全保障外交政策研究所ジェームス・J・カラファノ(James Jay Carafano)副所長はVOAの取材に対して、NATOが南シナ海で軍事介入するのは難しいが、中国が全世界で行っている影響力の拡大は、明らかにNATO加盟国の安全保障上の脅威であるとした。例えば、中国共産党政権に協力することを義務とするファーウェイ(華為科技)の技術拡張、欧州の戦略港の買収などを挙げた。
(翻訳編集・佐渡道世)