ロシアの地方裁判所は2月26日、中医薬の材料として高値で取引されるクマやトラなどの希少動物を殺害し、皮や手などを密輸しようとしたとして、中国籍の3人に有罪判決を下した。
ロシア裁判情報ネット26日の発表によると、極東ロシア沿海地方ハンカ湖(中国語・興凱湖)区裁判所は密輸容疑で逮捕した3人に対して4年10カ月の懲役刑を言い渡した。3人は判決を受け入れるという。
報告によると、2018年1月、ロシア極東税関とロシア治安当局は、中国黒龍江省に国境を接するハンカ湖地区で、合同捜査を行った。ロシア法務官が、中国国境に向かう2車両を聴取したところ、希少動物の体の一部を大量に発見し、押収したという。警察当局は組織的な密輸事件として中国籍の3人、ロシア国籍の2人を逮捕した。
ロシア税関密輸防止局のアンドレイ・ユディントフ(Andrey Yudintsev)局長が明かした押収品の一例は、アムール虎の皮5枚、ヒグマやヒマラヤグマの手867本、ヘラジカの尾、56キロ相当のモリガエルの油など。いずれも中医薬の材料になる。
押収品には、AK自動小銃2丁と多数の銃弾が含まれていた。
密輸防止局長は、押収品の市場価格は高額であり、クマの手だけでも5500万ルーブル(約9200万円)相当に値するという。
ロシアの司法長官事務局によれば、逮捕したロシア籍の2人には先に判決が下っており、組織的な密輸の罪で3年6カ月の禁固刑、130万ルーブル(約220万円)の罰金を命じた。
極東の生態系に甚大なダメージを与えたとして、事件はロシア社会に大きな関心を寄せた。あるロシアメディアは「史上最悪のクマの手の密輸事件」と例え、867本ものクマの手は、極東の森に住む絶滅危惧種に対する残虐行為だと書いた。手を切断されたクマは死亡したと考えられている。
また、別のメディアは、国境を越えてきた中国人がロシアの森にある池に、カエルを捕獲する目的で毒を注入していると報じた。
ロシアの動物保護団体は、今回だけでも極東の絶滅危惧種を含む野生動物の生態に、深刻な被害をもたらしたと強く批判した。
トラ、クマ、サイ、ゾウ、サンゼンコウなど希少動物の部位は、中医薬の材料として需要が高く、中国で高額取引されている。中国国内で乱獲が続き個体数が減少しているため、犯罪組織は依然として海外で密輸を続ける可能性が高いと考えられている。
(翻訳編集・佐渡道世)
ご利用上の不明点は ヘルプセンター にお問い合わせください。