中国輸入博、習主席が基調講演 欧米当局者「パフォーマンスよりも行動」

2018/11/05
更新: 2018/11/05

「中国国際輸入博覧会」(以下「輸入博」)が5日から中国・上海市で初開催された。習近平国家主席は開会式で、輸入関税の引き下げと市場アクセスの拡大を継続することを約束した。輸入博の開催にあたって、欧米当局者は不公正な貿易慣行を改めるには「パフォーマンスよりも具体的な行動が不可欠」と様子見ムードが広がっている。

今年は中国の「改革開放」路線実施40周年にあたる。習主席は今年5月、北京で開催された「一帯一路」国際協力サミットフォーラムにおいて、「市場開放の政策と行動を示すうえで重要なイベントだ」と輸入博の開催を発表した。それに対し、欧米主要国は口先だけの「改革開放」にとどまらないよう具体的行動を求めている。

北京政府が「主要国家から支持を得ている」と称するこの輸入博には、主要7カ国(G7)の首脳が全員欠席することとなると香港紙サウスチャイナ・モーニング・ポストが29日報じた。

北京の米国大使館の広報官は先月24日、トランプ米政権が輸入博に政府幹部を派遣せず、「中国政府には必要な改革を通じて不公平な貿易慣行を見直し、米国の製品やサービスに平等かつ公平な競争環境を確保するよう要請する」と公表した。

2日付ロイターによると、欧州連合(EU)は輸入博の開催を控え、中国政府に外資系企業にさらなる市場開放や公平な競争環境を提供するための具体策を打ち出すよう、要請する声明を発表した。EUはまた、博覧会においてはいかなる政治的(共同)声明文を出さないと示した。

EUは声明文のなかで、中国の最も重要な貿易相手国の一つとして、ウインウインの関係(両方が利益を得る関係)を築けるかどうかは、中国政府が着実に実施する「具体的かつ体系的な措置」にかかっているとした。さらに、中国政府がこの取り組みの詳細と日程表を明確に発表することを期待していると述べた。

中国政府が今回の博覧会をきっかけに、貿易赤字を縮小することによって、中国の不公平な貿易慣行への懸念を緩和することを望んでいる。しかし、過熱する「米中貿易戦争」の出口はまだ見えないという状況下で、輸入博はビジネスの雰囲気よりも、政治的な意味合いが強いとの見方が広がる。

一方、ドイツとフランスの駐中国大使は1日、異例にも中国の雑誌・財新で共同寄稿を掲載し、EUと同じ論調で中国で欧州企業が公平に扱われるべきだと主張した。

中国税関総署が発表した統計によると、今年1~9月には中国の輸入額は、前年同期比20%増の1.6兆ドル(約180兆円)となった。しかし、外資系に対する厳しい規制や不公平な競争条件、知的財産権の侵害などの問題で、外国企業は中国市場で自由に業務展開するのが非常に難しいものとみなされている。

習主席は開会式で、外国企業の利益を守り、知的財産権の侵害について懲罰的な法の執行を強化するとも話した。

(翻訳編集・王君宜)