中国農業農村部は6日、安徽省滁州市で新たなアフリカ豚コレラ(ASF)の感染を確認したと発表した。8月3日に1例目の感染発生が確認されて以降、10例目となった。国連食糧農業機関(FAO)は5日、中国からアジア全地域に流行する恐れがあるとして、タイのバンコクで国際緊急会議を開催した。
発表よると、同市鳳陽縣の養豚場で飼育されている豚886頭のうち、62頭にアフリカ豚コレラの症状があった。すでに22頭が死亡した。地元政府は封鎖、殺処分、無害化処理、消毒を急いでいる。
過去1カ月間、アフリカ豚コレラの感染は、8月初めに中国東北部の遼寧省瀋陽市で確認されてから、河南、江蘇、浙江、安徽、黑龍江に急速に広がった。現在、6省の10カ所の養豚場で感染が確認された。
中国メディア「新京報」(1日付)によると、農業農村部担当者が「中国は世界最大の豚肉生産国と消費国で、養豚業は中国経済と国民生活にとって重要な産業だ」とし、感染拡大に警戒感をあらわした。
同部の豚肉卸売り価格月別統計では、感染に関する報道がなかった7月には、1キロ当たり17.35元だったと示された。9月現在は19.64元で、7月と比べて約13%値上がりした。米中貿易戦による飼料価格の上昇に加え、中国の豚肉価格がさらに値上がりする見通しだ。
中国当局は8月3日以降、約3万8000頭の豚を殺処分にしたとしている。
国連が感染拡大に警戒
一方FAOは、アジア全域への感染拡大を食い止めるため、同日タイで3日間の緊急会議を開幕した。タイ、日本、韓国、ベトナムなど10カ国の政府関係者、動物疫病専門家、養豚企業担当者らが出席した。FAOはバンコクに越境性動物疫病緊急センターを設置する。
FAOは今年3月に公表した調査書で、アフリカ豚コレラの感染が中国に拡大すれば、「動物の健康、食品の安全や食糧安全保障に壊滅的な結果を引き起こす」「東南アジアへの感染拡大の可能性が高まる」と警告した。
感染源はロシア産豚肉か
昨年3月、中国国境から1000キロ離れるロシア・シベリア地方イルクーツクで、アフリカ豚コレラが大流行し、東欧一部の国に拡大した。
ロイター8月24日の報道によると、FAO越境性動物疫病緊急センターの関係者は、中国で発生したASFは、ロシアなどで見つけたものと類似していると指摘した。
中国国内世論は、米中貿易戦の影響で、中国当局が米国産豚肉の輸入を制限し、代わりにロシア産豚肉の輸入を増やしことが、アフリカ豚コレラ感染を招いたと批判している。当局は明言を避けている。
中国各メディアは同月初、「1~7月まで、中国はロシアから約24万トンの豚肉を輸入した。米国産豚肉の穴埋めができた」と相次いで報じた。
黒龍江省商務庁は8月8日、同ウェブサイトで「対ロシア経済・貿易情報-168期」を掲載し、「ロシアのシベリア農業グループから豚肉を輸入し始めた。1期目は24トンだ」と報告していた。
(翻訳編集・張哲)
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