中国各地で退役軍人による抗議活動が頻発している。このほど、山西省の元軍人らは、当局による武力鎮圧から身を守るために、戦闘時に使われるヘルメットを着用してデモを行った。
中国ソーシャルメディア上の動画投稿によると、7月17日山西省の元軍人らは待遇改善を求め、同省太原市の政府庁舎前で、陳情活動を行った。動画では、元軍人らが戦闘用ヘルメットを被り、鉄製の折り畳み式チェアを持って進行している様子が映っている。参加者の人数は不明だ。
一方、同日四川省重慶市の退役軍人らは、同市民政局の前で集まり、待遇改善を要求したとのネット投稿もあった。
6月下旬江蘇省鎮江市当局は、数千人規模の元軍人のデモを武力鎮圧し、多くの負傷者を出した。それ以降、中国各地で待遇改善をめぐる退役軍人の抗議活動は勢いを増している。今月9日、河北省の石家荘市と邢台市、山西省太原市、湖南省長沙市などでも抗議デモが起きた。
中国軍元士官の胡偉氏は、元軍人らが戦闘用ヘルメットをかぶって抗議デモを行った理由について、鎮江市での強制排除を受けて「元軍人らは自己防衛力と抗争戦闘力を高めようとしている」との見方を示した。また鉄製の折り畳み式チェアを携帯することも「いざ鎮圧に遭った時、武器として使えるからだ」という。
胡氏によると、近年中国当局の軍改革による人員削減で、多くの軍人が退役させられた。また、国内経済の不景気とインフレで、生活難を訴える元軍人が急増している。
また、元軍人らの現状に対して、軍内部では「非常に同情している」将校や兵士が多いと胡氏が示した。このため、中国当局は、デモ鎮圧に現役軍人ではなく、武装警察を投入したという。
鎮江市での抗議デモでは、地元の市民が無償で食料品や水などを提供し、退役軍人を支持した。
「これらは中国共産党の圧政が終焉(しゅうえん)を迎えていることを示している。国民を抑制する手段である軍でさえ、今この政権に反発している」と胡偉氏は述べた。
(記者・駱亜、翻訳編集・張哲)
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