米、中国製品に10%追加関税を検討「ネット封鎖システムも対象」との報道も

2018/06/19
更新: 2018/06/19

トランプ米大統領は18日、中国の報復関税に対して2000億ドル(約22兆円)相当の中国製品を対象に10%の追加関税を検討すると明らかにした。

大統領は14日、知的財産権の侵害として、500億ドル(約5兆5000億円)相当の中国製品に対して関税措置の発動を承認した。米政府によると、7月6日から、第1弾として340億ドル相当の中国製品818品目に対して関税措置を導入。残りの160億ドル相当の中国製品について、後日発動の対象として検討するという。

これを受けて、中国当局は同日、同規模の米製品に対して25%の関税を上乗せするとの報復措置を発表した。

18日に公表された10%追加関税措置は、中国の報復関税に対抗したものだとみられる。

米メディアの報道によると、トランプ大統領は、中国当局の報復措置について、知財権侵害および強制技術移転において中国が「明らかに改善するつもりがない」と批判した。

中国ネット検閲システムが制裁対象に

18日付の米メディアによると、米政府は初めて中国ネット検閲システム「グレート・ファイアウォール」を通商制裁措置の対象リストに挙げた。米政府の公表には、過去10年間、中国のネット検閲によって、業務に支障をもたらされた米企業は莫大(ばくだい)な損失を被ったと記されている。

米通商代表部の調査報告によると、過去1年間、中国当局はネット検閲を強化した。中国では、世界で最も人気の25のウェブサイトのうち、8のウェブサイトへのアクセスが遮断されている。Google、Facebook、Twitterなどが利用できない。

大紀元時事評論員の夏小強氏は、米が「グレート・ファイアウォール」を制裁対象にしたことに、中国当局が強く反発するとした。中国当局は長い間、政権を揺るがしかねないとして、海外からの情報を封じていた。ネット検閲は中国共産党政権にとって、体制の維持に不可欠な政策だ。

しかし、中国にはトランプ政権に対抗できるカードがほぼ残されていないのも実情だ。報復措置を辞さないと負け惜しみの中国当局は実は、輸入自動車関税の引き下げ、金融セクターでの外資規制緩和などを行った。

「米国の猛烈な制裁で、最終的に中国当局は米に譲歩する。ただ、段階的に市場を開放していく可能性が高い」との意見を示した。

米専門家「中国の報復関税は賢明ではない」

米シンクタンク、アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所(AEI)のデレク・シザーズ(Derek Scissors)は、米の関税措置に対して、中国が同様に報復措置を行うのは「賢明ではない」と先週末、米ボイス・オブ・アメリカに対して語った。

同氏は、中国の報復措置は「間違っている」と指摘した。「この措置は、結果的に対米貿易黒字を増やすしかない。このため、トランプ大統領はさらに強い制裁を加えていくだろう」とした。

シザーズ氏は、中国の米製品購入拡大の提案について、「中身がはっきりしていないため、トランプ大統領が関税措置の発動を決めた」と分析した。

一方、トランプ大統領は先週末、米フォックスニュースの取材を受けた際、「中国製品への追加関税措置は、米国が中国に貿易戦を仕掛けたという意味ではない」と話した。

大統領は、「中国当局は以前から、米国に対して貿易戦を発動していた。米はすでに負けている。だから、今貿易戦という言い方は存在しない」と強調した。

(翻訳編集・張哲)