香港高等法院(高裁)は22日、「公務員不法行為」の容疑で起訴された前香港行政長官・曽蔭権被告に対し、禁錮20カ月の実刑判決を言い渡した。長官経験者が実刑判決を受けるのは初めて。余罪の「利益譲受罪」について、高裁は今年9月から再度審議を進めると決めた。
刑の言い渡しを受けた際、曽蔭権被告は表情の平静を保っていた。前日の陪審団による裁決を聞いた時のように、手を震わせ錠剤を飲むことはなかった。
香港特別区長官が実刑判決を受けたことに対し、中国国営メディアは沈黙している。新華社や中国中央電視台(CCTV)は一切報道せず、新浪網などは限定的な事実を短く伝えたのみ。
今回の出来事は、香港の独立した司法制度の優越を示すものであり、共産党の実質的な支配下に置かれている中国本土とは対照をなす。香港で勢力がいまだに強く残るといわれる江沢民派の人物に実刑判決が下ったことは、習近平政権が、汚職摘発と司法の独立を強く推し進めていることがうかがえる。
(文亮)