世界保健機関(WHO)の最近の発表によると、中国本土では抗生物質が濫用されているため、2050年後には毎年100万人がその影響により早死にするという。
濫用が世界に与える影響
世界保健機関は5月21日、抗生物質の耐薬性のある細菌の感染問題についてのレポートを発表。それによると、抗生物質の使用量が世界の半分に上る中国では、2050年まで毎年100万人が早死し、20兆ドルの経済的損害が出るという。
中国の抗生物質の耐薬性問題の主因は、非処方薬の氾濫や、人や家畜に対する抗生物質の過度な使用だ。
抗生物質耐薬性の脅威について、WHOは一般人に対して本当に抗生物質を使うべきか慎重に考えるよう呼びかけた。同時に、医師には、必要な時にのみ抗生物質を処方すべきだと忠告した。
また、レポートは、2050年まで薬剤耐性細菌の感染により、世界で毎年1000万人の死亡や100万ドルの経済的損害を引き起こすと警告した。
薬剤耐性とは、細菌が遺伝子の突然変異により抗生物質に対して抵抗力をもつこと。人や家畜に対する抗生物質の濫用は薬剤耐性菌の拡散させ、各国を危険にさらすことになる。この問題に対処するために、国際的な連携がなければ「ポスト抗生物質時代」に入る恐れがあり、その時には普通な感染症でも致命的な病気になりかねない。
フランス通信社の2015年3月26日付が伝えた、イギリスの経済学者ジム・オニールは去年発表したレポートによると、2050年までに耐薬感染が全世界で一番目の死亡原因になり、世界GDPの2%~3.5%に相当する被害をもたらすと述べている。
オニール氏は、抗生物質耐薬感染を対する措置がなければ、どの宗教、どの人種、どの民族の人でも抗生物質耐薬性感染によって死亡する可能性があると推測する。
中国におけるの深刻な抗生物質の濫用
ラジオ・フリー・アジアは去年3月27日、広東省の病院に勤める医者の胡氏は中国の抗生物質濫用問題について「中国の抗生物質濫用の問題は非常に深刻。薬剤耐性感染の比例は増える一方だ」と述べた。
胡氏によると、製薬会社による高額なわいろ以外にも、病院の暗黙のルールも医師が大量の抗生物質を処方するインセンティブだという。「医師は処方をする時に病院と自分の収入を考えなければならない」と胡氏。軽い風邪の患者で抗生物質が必要ないのに、患者が抗生物質を処方するよう求めるため、医師が不必要な抗生物質を処方してしまう場合もあるのだ。
中 国の畜産業や水産養殖業でも抗生物質が濫用されており、鶏、アヒル、豚そして魚などの養殖で抗生物質を過剰に使用していると言われている。抗生物質を含む廃水は水の循環系に入り、飲用水も汚染される。なお、人が養殖された生き物を消費すると抗生物質が体内に残留する恐れがある。
(翻訳・文亮)
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