習近平氏訪米「経済と貿易がキーポイント」専門家

2015/09/23
更新: 2015/09/23

 中国国営メディア・中新網は、習近平主席の訪米について、専門家が分析するキーポイントを伝えた。訪米で期待する効果は、鈍化する中国経済・貿易に米国の協力が必要であること、また経済関係促進のため、両国リーダーが信頼を置く双方の官僚が、顔を突き合わせることなどを挙げた。

1. 米国は中国経済に疑いの目

 中新網は21日、中国人民大学国際関係学院副委員長・金燦栄氏の分析を伝えた。金氏によると、習主席は、鈍りはじめた中国経済に米国が不信感を抱いていることを知っている。共産党は、中長期の動向は良好であると信頼させるために、中央財経指導小組弁公室主任・劉鶴氏と、スーザン・ライス米大統領補佐官(国家安全保障担当)との会談を調整したという。

 2013年5月、習主席は米中サミットの準備で北京に来たトム・ドニロン米大統領補佐官(当時)に、経済改革者として手腕が期待される劉氏を「私にとって極めて重要」な人物として紹介したとされる。10月19日米ウォール・ストリート・ジャーナルが報じている。

 ライス補佐官はオバマ大統領が最も信頼を置く官僚の1人。8月末、習主席の訪米準備として訪中している。劉氏との会談では、人民元の下落による世界金融市場の影響が焦点に置かれると、金氏は分析する。

2. 共産党主導の経済は米国の助けが必要

 中国経済の発展には、米国の助けが必要であるという。共産党当局の訪米の狙いは、中国経済と貿易に勢いを加えることだ。具体的な成果を上げるため、習氏の前に、多くのビジネス関係者・政府の経済担当者が訪米したという。結果は「訪米が終わり次第、公告されるだろう」と金氏は見ている。

3. 二国間投資協定はTPP後に調印

 アップルのティム・クック氏ら94人の米国企業最高経営責任者は15日、習主席とオバマ米大統領に書簡を送り、意味ある「二国間投資協定(BIT)」を締結するよう促した。

 金氏の分析では、共産党はできるだけはやくBITが成立するのを望んでいる。しかし、米政府は、日本など交渉12カ国による環太平洋パートナーシップ協定(TPP)の合意を優先順位としており、「BITはTPPの後」と述べた。

 23日ロイター通信によると、米通商代表部(USTR)のフロマン代表は22日、ワシントン市で講演し、9月末に米国でTPP関係閣僚会合を開くことについて「合意は近い」と述べたものの、具体的な見通しは避けた。一方、BITには「ゴールまでの道のりは遠い」と早期締結はないとの見方を示した。

4. 習主席とオバマ大統領 少人数会談

 新京報が21日に伝えたところによると、今回の習主席の訪米は7カ月前という異例な早さで発表され、綿密な準備が組まれたという。中国外務省によると、両首脳は通常会談以外にも少人数での会談も行う予定だ。

(翻訳編集・佐渡 道世)