楊潔チ元外交部長(Feng Li/Getty Images)
【大紀元日本1月29日】中国の外交を統括する楊潔チ国務委員はこのほど、外交部長(外相)在任時の職務怠慢を認め、現職を退く意向を示した。外交部は最近、人事の調整が相次ぎ、江沢民勢力が強い同部でも、現政権による江派崩しが進んでいるようだ。
香港『争鳴』誌1月号によると、楊氏が共産党指導部に対し、外交部長在任時に部内の腐敗を放任し、それにより規律違反の事件が多発したことを反省した。現在の国務委員職の辞意も表したという。
楊氏のほか、今年に入ってから同部の副部長人事にも異動があり、商務部副部長の王超氏が同部の副部長職に転任。外交部はこれまで、部長職と副部長職には外交畑出身の幹部のみ登用してきたため、今回の人事は極めて異例だという。
香港紙「太陽報」はこの人事について、表向きは対外貿易を重視した人事だが、実際は現政権による大規模な人事調整の始まりだと分析した。
フランスのRFIラジオは27日の報道で、江沢民元国家主席は中国の外交人事を握っていたと指摘。歴代部長の銭其シン氏や唐家セン氏、李肇星氏、楊潔チ氏は全員、江沢民派閥のメンバーだという。江一派の勢力が弱められている今、外交部でも現政権による攻勢が際立った。
李克強首相もこのほど外交部の会議で、同部幹部の資質を問題視した。「外交機関の条件や施設、保障は世界でも優れているが、政治性・専門性・教養資質に問題は少なくない」と不満を述べた。
李首相の発言の背景に、外交部の数百人の元幹部が2.6億元(約44億円)にのぼる投資詐欺に巻き込まれたことが最近明らかにされたことがある。2.6億元のうち、1.5億元は元幹部らの出資だった。投資を持ちかけた新緑源社は、退職した外交部元高官を顧問に招き、コミッションと分配金をエサに、次々と外交部幹部を勧誘したという。
同事件について政権は2012年に新緑源社代表の逮捕で幕引きをはかっていたが、今月になって国内メディアが詳細を報じたことは、現政権が外交部での地盤づくりに同事件を利用しようという策略が窺われる。
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