【大紀元日本6月29日】新疆ウイグル自治区の緊張情勢が続いている。26日に35人が死亡した暴動に続いて、28日には、区都のウルムチ市や、ホータン県などの地区でも、相次ぎ市民と警察との衝突が発生した。
ホータン県で騒動、逮捕者も 一部報道では死者2人
自治区政府の公式サイト「天山網」は28日、「ホータン県で、バイクに乗りナイフなどを保持した約100人の市民が現地警察施設を襲撃」したと伝えた。一時身柄拘束されたが「死傷者はでなかった」と伝えている。国営中央テレビCCTVは同日夕方5時頃、同事件の発生を報じ、「死傷者数は不明、現在は調査中」と伝えた。
29日午前、軍が大量投入されたホータン県(ネット写真)
AP通信も複数の現地住民からの情報を報じた。それによると、同日午後3時頃、興奮した市民が広場で火をつけるなどをした。その後、警察により広場の周辺地区は封鎖され、外出と集会禁止令が出された。また、大勢の武装警官が各主要道路に配置され、軍と警察の車両が厳重警備に当たっているという。
携帯電話の電波が極端に悪くなり、数時間も電話が通じなかった、との現地住民の証言もある。
米政府系放送局ラジオ・フリー・アジア(RFA)は、騒動とは別に、警察の銃撃により市民が死亡したと未確認情報を伝えた。RFAの取材に答えた住民によると、現地のモスクに昼の祈りの時間が終わり帰宅しようとした若者たちが、宗教的なスローガンを叫んだため、怯えた警察が発砲したという。銃撃により2人が死亡、数人がケガを負ったと住民は答えている。
ウルムチ市で武装警官襲撃事件
同市公安当局の発表によれば、同日午後4時前に、ある住民が武装警官隊の駐屯地のフェンスを乗り越えようとした際に逮捕された。「市内の社会秩序は良好で安定している」とも述べているが、一連の騒動の発生をもみ消そうとする意図がうかがえる。
一方、現地住民を自称するインターネットの書き込みは、当局の発表と大きく食い違っている。同日では、市内の武装警官隊駐屯地で襲撃事件が発生。2人は火炎瓶を手に警官に襲い掛かったが、その場で射殺された。現場の天山区では現在、戒厳体制が敷かれ、市内での写真撮影も禁止され、武装警官に止められている。
また、カシュガル市内住民を名乗る人物がインターネットに書き込んだ内容によると、同市内でも暴動が発生し、市民数人が射殺され、4人の警官が死亡。ホータン市では少数民族の抗議デモがあったという。ポータルサイト「新浪網」に書かれた事件の書き込みは削除され続けている。
撮影者を厳しく制止しようとする兵隊(ネット写真)
外国メディアの取材活動禁止
26日の暴動の発生地トルファン地区ルクチュン県に入り取材を試みようとする英BBCとAFP通信の記者は現場の立ち入りを禁じられた。
BBCの記者は、「この暴動事件には多くの謎がある」と指摘。「私たちを含めて、皆が検問所で止められて現地に入れない」「現地政府関係者を乗せた車が一日中私たちを尾行している」という。
世界各国のウイグル人組織を統括する上部機関「世界ウイグル会議」(本拠地・ドイツのミュンヘン)のスポークスマンのディルシャット氏は大紀元の取材に答え、現地からの情報として暴動発生の背景を説明した。それによると、当局の取り締りで一部のウイグル人は身柄拘束されて行方不明になっており、当局は家族への情報開示も拒否しているという。「絶望に陥れられた人々は暴力に走ってしまった。当局はこの事実を隠し通そうとしている」
RFAの取材に対して、ディルシャット氏は憂慮をあらわにした。同氏は現地からの情報として、26日の暴動事件発生後、67人以上のウイグル人が逮捕されたと話した。「女性と13歳の未成年者も含まれており、自治区全域のモスクに武装警官が進駐している」という。
「事件に関する当局の発表は一方的で、透明度が欠けている」と指摘する同氏は、メディアの取材を含めて、国際社会による現地調査を中国当局に求めていく考えを示した。
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