改革派の広東省トップ、汚職幹部2千人以上を検挙

2012/08/20
更新: 2012/08/20

【大紀元日本8月20日】中国広東省の腐敗汚職に対する集中取り締まりで、2千人以上の幹部が検挙されている。これを牽引したのは同省トップの汪洋氏は政治改革の支持者と見られる。一方、中国問題専門家は、中国の腐敗問題は政治と経済の体制に根ざしているため、根絶できないと指摘した。

中央政治局の委員で広東省トップの汪洋氏は今年2月から、「三打二建」という名の腐敗・汚職の取り締まり運動をはじめた。「三打」とは、市場の独占、偽造商品の製造・販売、賄賂と収賄を打撃すること。「二建」とは、社会の信用と市場の監督・管理の体制を建設すること。

地元紙・南方都市報の17日の報道によると、15日までに、この取り締まり運動で計1931人の汚職幹部が検挙された。そのうち高官6人が含まれている。深セン市だけでも、10日までに、賄賂の案件543件が摘発され、245人の幹部が関与していたという。

汪洋氏「政治改革は体制内部から着手すべき」

今年3月の両会(全国人民代表大会と全国政治協商会議)の期間中に、記者による政治改革の関連質問に対して、汪洋氏は、改革はまず共産党と政府機関の内部から始めるべきだと答えた。

中国問題専門家の間では、汪洋氏は胡錦濤主席と温家宝首相にバックアップされているとの見方が根強く、胡主席に抜擢された共青団派のメンバーとも言われている。2007年12月、同氏が広東省のトップに就任してから、積極的に改革を進めてきた。

同氏が最も評価されたのは烏坎事件への対応だ。昨年11月、同省烏坎村では、長年にわたる村幹部の独裁と汚職に反対して、村民が大規模抗議を起こした。汪洋氏は後に、村民の要求を受け入れ、村幹部の民主選挙に同意した。今年1月にはこの抗議運動を率いた村民が、村のトップに選ばれて就任した。

また、今秋開催予定の中国共産党第18回全国代表大会では、汪洋氏の中央政治局常務委員入りが有力視されている。

「中国の腐敗は根絶できない」

一方、英国シェフィールド大学卒の政治経済史の専門家・孫驍驥氏は、中国スタイルの腐敗は根絶できないと指摘し、その理由は、政治・経済体制との直接的な関連性にあると分析した。

『中国スタイルの腐敗はもっとも悪質の腐敗』と題する孫氏の文章では、幹部のほぼ全員が腐敗・汚職する中、取り締まられる対象は往々にして権力争いの敗者であるとも指摘した。

 (翻訳編集・叶子)