【大紀元日本3月1日】中国北京にある中原市場研究部が発表した調査レポートによると、昨年下半期から、北京、上海、杭州、重慶、武漢、南京などの17都市では、それぞれの地方政府が中央政府の実施してきた不動産価格抑制政策に対して微調整を行ない、少しずつ緩和し始めているという。抑制政策の微調整の中身は、限購対象基準の見直しや一般住宅への定義基準の見直し、税金面での優遇、住宅購入の補助金給付などがある。
具体的には、安徽省馬鞍山市政府は、住宅の住み替え需要のある購入者、または住宅を購入するエリート級の人材を対象に、不動産譲渡証書税(Deed Tax)の100%の補助を行なっている。また、江蘇省常州市、南京市、安徽省合肥市、吉林省吉林市などの地方政府は住宅公共積立金の利用規制を緩和し、融資限度額を上げた。四川省重慶市と杭州市は住宅購入者を対象に補助金を給付し始めた。また、北京、上海、天津、武漢などの市は、住宅取引件数を増やすために、一般住宅に関する基準を緩めた。広東省中山市は住宅限購の新基準を出した。安徽省蕪湖市は住宅購入者に対して、減税および補助金給付などの優遇策を行っている。
国内紙「瀟湘晨報」によると、海南省三亜市や浙江省寧波市象山県の地方政府も密かに限購令を緩和した。同紙の記者がある不動産販売店に問い合わせたところ、担当者が「お金を持ってくるだけでいいです。何軒目の物件でもかまいませんので、購入しても大丈夫です。しかし、住宅ローンは受け付けていないので、一回払いとなります」と話したという。
一方、中国政府当局にも不動産価格抑制政策を緩和する動きがみられる。統計によると、2月11日時点では4つの直轄市及び27省政府所在都市のうち、4つの直轄市と8都市の一部の銀行は、これまで5~10%を上乗せしていた1軒目住宅ローン金利を基準金利に戻した。現在1軒目住宅ローンの基準金利は7.05%(5年物)となっている。また、西安市の銀行や中国銀行北京支店などの金融機関は住宅ローンを利用する住宅購入者に対して10%~15%の割引を実施しているという。
地方政府が中央政府の打ち出した不動産価格抑制政策への微調整を行った主因は、過去1年間において中国各地の住宅価格が下落しており、不動産市場が急速に低迷し始めたことにあるとみられる。
2月18日に国家統計局が発表した調査レポートによると、1月、全国70大中都市のうち、新築住宅(保障型住宅を除く)の価格が前月比で下落したのは48都市あり、残り22都市の価格は横ばいとなったという。言い換えれば、住宅価格が前月比で上昇した都市は70大中都市のうち一つもなかった。1月全国新築住宅価格は前月比ペースで4カ月連続の下落となった。
国内証券会社の招商証券アナリストの李文氏は本紙の取材に対して、「現在密かに不動産価格抑制政策を微調整しているのはこれらの17都市だけではない。一部の都市の地方政府も内々でやっている」と話した。
また李氏は「現在中国政府は今年如何に経済成長を達成するかに関して困難を感じている。政府の投資を増やしたいが、しかし高インフレ率を招くことを恐れている。また、国民の消費意欲が低くて、輸出もなおさら良くない状況にある。だから、政府は民間投資を刺激し経済成長を拡大しようと考えている。不動産業が好調になれば、その恩恵で約40の業界も良くなる。不動産業は経済成長を最もけん引していける業界と考えている政府は不動産価格抑制政策を緩和したいが、しかし世論の圧力を恐れているので、一部の地方政府が密かに微調整を行うのを黙認することしかできないのだ」と述べた。
「例えば、安徽省蕪湖市が打ち出した住宅優遇政策は政府の上級指導者からの黙認をもらってから打ち出すことができたのだ。上級指導者からの黙認がなく、勝手に打ち出したら、これに関係した官僚たちはきっと解任されるだろう。しかし、このようなことは起きていなかった。明らかに政府当局が内心抑制政策を緩和しようと考えているに違いない」と李氏は分析する。
李文氏は今年上半期の経済指標が発表される9月あたりに、中国政府が抑制政策への緩和に関して徐々にはっきりとした姿勢を示し始めると予測している。
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