【大紀元日本11月11日】国際原子力機関(IAEA)が8日に発表した報告書には、イランが軍事利用を目的に核開発を進めている可能性を更に裏付ける情報が公表された。これについて国連安全保障理事会や外交関係者たちは、イランの最大の貿易国である中国の動きにスポットを当てている。
同報告書によると、イラン首都テヘランにある軍事施設に高性能起爆装置の実験施設が存在することが、衛星写真から確認されたという。中国外務省の洪磊報道官はこの報告書内容を「検討中」とし、「中国は核兵器の拡散、および中東のいかなる国へも核兵器の開発を容認しない」としながら、イランに対して「柔軟性のある誠実な態度を示し、IAEAに協力的であるべきだ」と要求した。
イランは西側諸国をけん制する目的で、広範に渡る取引を長らく中国と展開してきた。
国連安全保障理事会の常任理事国である中国は、イランの核兵器開発疑惑への非難とそれに対する経済制裁という決議案を支持してきた。今回、新たな証拠とされるものがIAEAの報告書には記されているが、追加制裁を下せないのは中国とロシアが反対するためだと、アメリカ政府担当者はロイターの取材に対して述べている。
ロシア政府報道官は追加制裁について「受け入れがたい」と述べ、継続的な会談による解決が望ましいとしている。ロシアはイランで第7位の貿易取引国で、イラン南部ブシェールの原子力発電所はロシアの支援を受けて建設された。
アメリカの新保守主義系シンクタンク・民主主義防衛財団(Foundation for Defense of Democracies)のマーク・デュボヴィッツ事務局長は、中国企業が経済制裁決議に反して、かなりの量の石油関連取引を継続して行っていると指摘しており、既に米政府は、中国政府へ新規取引を行わないよう要求しているという。
またデュボヴィッツ局長は、「近年、中国が対イランのエネルギー取引を400億ドルほど契約していると確認しているが、このうちどれほどが既に供給されたものなのか、新規契約分なのかは不明」だという。
世界第2位の原油の消費国である中国にとって、イランは現在、サウジアラビアとアンゴラに次ぐ第3の原油供給国だ。イランイスラムラジオ(IRIB)9日付の報道によると、イラン国営石油会社は「中国向けの原油の輸出量の増量に関する新たな協定が近日、調印される」と述べているという。
イランの、今年始めから9月までの対中国原油の輸出量は20万トン以上になり、IRIBによると日量40万バレルにもなるという。また2国間の全体の貿易取引額は同期昨年比で58%増の330億にのぼる。
中国官製メディアは、今回のIAEAの報告は猜疑的だとの見方を伝えている。新華社通信は、国連関係者の解説として「目撃者、物的証拠はなく、核兵器開発の動かぬ証拠としては不十分だ」と伝えており、人民日報は「イランと西側諸国の核問題に関するにらみ合いは、軍事的対立に繋がる。この白熱する議論のレベルは断崖に立った状態」と伝えている。
専門家たちは、中国の国際的責任と対イランとの協力関係に絡む問題を指摘する。「核開発における国際問題の責任は、イランとの経済関係の恩恵を受けた唯一の国、中国にかかっている」と、イラン研究者のスーザン ・マロニー氏はロイターに答えている。
また外交問題評議会のバーマン副会長は、ニューヨークタイムスの特別寄稿にて「中国は、イランとの取引に価値を見出さないようにすべきだ」と非難した。バーマン氏は「近年の急速な経済発展に伴い、エネルギーへの貪欲さを備えるようになった中国は、これを豊富に抱えるイランと戦略的パートナーとなっていった」と分析し、それと引き換えに核の能力開発という研究に中国は助力したと指摘する。
さらにバーマン氏は「対イランの安全保障を懸念するアメリカだが、米中貿易取引を続けるために、危険な中国イラン間の取引に重大な処罰を下さないと、中国の政治リーダーたちは確信している」と見ているが、しかし「核兵器開発の嫌疑が黒となれば、中国はその取引を継続することは出来なくなるだろう」と予想している。
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