「集団化、高官化、巨額化」 中国の腐敗に新たな特徴 腐敗取締専門機関が発表 

2011/06/29
更新: 2011/06/29

【大紀元日本6月29日】腐敗対策専門機関の中国国家予防腐敗局は24日、公式ウェブサイトで報告書を掲載し、中国社会に蔓延する腐敗について、「集団化、高官化、巨額化」など、新たな7つの特徴が見られると指摘した。

中国社会科学院がまとめた同報告書によると、7つの特徴とは以下の通り。

①「集団化」、汚職事件が摘発されると、関与する多数の人間が芋づる式に暴かれる。

②「高官化」、2003年から2007年の間に、35人の副部長(副大臣)格以上の幹部が逮捕された。2009年の1年間だけでも、閣僚級の幹部9人が処分された。それらの90%が、愛人を囲っているという。

③「巨額化」、汚職に関わる金額は年々増加しており、汚職1件につき1億元に上るケースも珍しくない。

④「権力と利益の交換」、従来の現金を受け取るなど明らかな収賄ではなく、便宜を図った見返りとして高報酬のポストや株式証券、その他の厚遇を得るなど巧妙化することによって、汚職が発覚しにくくなる。

⑤「闇のルール」、官界に様々な闇のルールが存在し、これに従わないと、締め出される恐れがある。

⑥「国際化」、国内で不法に得た資金を海外で洗浄し、逮捕の危険が迫るとすぐに海外へ逃亡する。

⑦「新型化」、腐敗対策の少ない信託、証券、保険業界にも汚職事件が増加している。

また、中央紀律検査委員会がまとめた資料によると、2010年には14.65万人が党紀処分を受け、5373人が告発されたという。

今月24日から28日まで、ハンガリー、英国、ドイツを歴訪している温家宝首相は、25日からの英国訪問中、インフレと腐敗が併発する中国の現状は、政権の安定を十分脅かしうると危機感を示した。

中国政法大学の楊帆教授は米VOAの取材に対して、腐敗を深刻化させた要因として、制度上の問題のほかに、「信仰と道徳を失ったからだ」と話す。ここ20数年来、道徳教育が失敗し、人々が腐敗に馴染んでしまったため、腐敗取締は困難になったと指摘した。

腐敗防止のため、中国政府は2010年、幹部の個人資産申告制度を修正し、県副課長以上の幹部に自身と配偶者の収入、離婚の有無、子供の海外移住について申告を義務付けた。

しかし、中国紀律検査委員会の呉玉良副書記は先日、「幹部が申告したデータは民衆が信用しておらず、それを精査する手段もないため、有効に機能しない恐れがある」と述べ、同制度の実行は困難との見方を示した。

一方、インターネットユーザーの投稿で腐敗の実態を暴露する腐敗告発サイトは、開設されてから10日間で20万アクセスに達するほどの人気ぶりで、市民の腐敗取締りへの関心の高さがうかがえる。しかし、これらのサイトは政府から「不法」とされ、相次いで閉鎖に追い込まれた。

(翻訳編集・高遠)
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