中国の13歳政治少年、世論批判の的に

2011/05/11
更新: 2011/05/11

【大紀元日本5月11日】中国湖北省武漢市在住の13歳の少年が最近、国内世論の批判の的になっている。「政治の天才少年」と揶揄されている黄芸博君は写真で中共幹部の定番ポーズを取っており、「少年先鋒隊」(未成年者が加入する共産党関連組織)の幹部身分を示す「五本線」も肌身離さず付けている。

彼が注目されるようになったきっかけは、メディアの報道だった。その話題性はビンラディン容疑者の射殺事件にも勝る勢いだという。

国内メディアの報道によれば、黄君は2歳から中国国営テレビCCTVのニュース報道を観ており、7歳からは毎日中国当局の機関紙「人民日報」、政治紙「参考消息」を読んでいる。これまでに新聞で100篇以上の文章を発表してきたという。この13歳の少年の肩書きは、「中国少年先鋒隊」武漢市総隊の副総隊長、「全国優秀少年」、「武漢少年宣伝大使」などズラリ。黄君は両親とのプライベート写真の撮影にも、副総隊長の腕章「五本線」をつけるのを忘れないし、日頃の一挙手一投足、立ち居振る舞いは中共の高官要人そのものだという。

この政治の天才少年に国内の世論の同情と批判が集中し、中国共産党教育が人間の本性を歪ませていると非難する声が飛び交っている。大手ポータルサイト「網易」に20万のコメントが殺到し、「13歳の少年の表情じゃない。まるで官僚そのものだ」「中国共産党の教育は人間の本性を歪ませ、少年の心に障害をもたらした」「このような子どもは、中共の教育制度が作った悲劇だ」「こどもは間違っていない、この社会が間違っており、もう救いようのない社会だ」などといった意見が寄せられている。

世論からの思わぬ批判のためか、黄君の両親は息子がプログに書いた未来の夢を語る政治的豪語を削除し、国内メディアの電話取材で、中共政治体制への不満を息子に発散しないよう訴えたという。

国内の学者・昝愛宗氏は、「黄芸博君は中共の変異した教育制度の産物であり、洗脳教育を受けている大勢の児童の縮図に過ぎない。それは彼とその両親だけの悲劇ではなく、中国の子ども全体の悲劇だ」との見解を示し、「黄君の両親は世論を責めるより、わが子をこのように変異させた結果を反省すべきだ」と指摘、中国当局に対し、「黄君や中国の子どもたちを見逃してやってください」と進言した。

一方、黄君が2歳から見始めたという中国国営テレビCCTVのニュース放送は、最近、朱鎔基・前首相(83)が公の講演で「でたらめなことばかり」と一蹴したばかり。その30分間のニュースについて、ネットでは次のような皮肉が流行っている。「最初の10分間は、わが国の多忙な政治指導者たちに焦点を。次の10分間はわが国の幸せな国民に焦点を。最後の10分間は外国の悲惨な現状に焦点を」。黄君が7歳から毎日欠かさず読んでいるという「人民日報」は、共産党思想宣伝の総本山であり、「日付以外は皆嘘ばかり」と揶揄されている。

(翻訳編集・叶子)