【大紀元日本7月15日】最近、国際的に一連の大事件が発生している。韓国の哨戒艦撃沈事件、米国がロシアのスパイを逮捕、中米の軍事交流が停止、G20首脳会議前に圧力に屈した中国の人民元切り上げへの譲歩などが挙げられる。
これらの一連の事件に、大国としての中国は何らかの関わりをもっている。しかし事件の解決過程で、中国は受動的な立場に立たされている。
韓国哨戒艦撃沈事件について、国際社会は数ヶ月の調査を経て、韓国が示した多くの証拠により、北朝鮮の行為であったと言明した。しかし、北朝鮮は事件関与を否定。もし国際社会が撃沈事件をもって北を譴責・制裁するならば、北は軍事行動で対抗すると脅している。中国は北朝鮮の後ろ盾であり、哨戒艦撃沈事件では北朝鮮の肩を持つ唯一の国である。この問題で、中国は再び外交上道義に欠ける態度をとってしまった。
人民元レートに関しては、常に主要貿易国から人為的なレート操作をしないように求められている。しかしここ数年来、世界各国は本国の経済危機に惑わされ、この問題について中国と真剣に立ち向かうことができなかった。そのため中国は、時折、他国の指摘に対し強い態度で反撃するようになった。今年初め、中国の指導者は、人民元のレートは適切であり、中国政府は国際社会の圧力に屈して人民元の切り上げをすることはないと強く明言した。
しかし、その後、輸出が著しく回復し、膨大な貿易黒字を抱えていることにより、人民元レートの問題はふたたび国際世論の焦点となった。米国のオバマ大統領は、人民元レートの問題をG20会議の議題に入れると明確に態度表明し、会議参加国の大多数の支持を得ている。
米国会も、中国からの輸入品に対する課税率引き上げの権限を政府に与える予定だ。この議案が可決されれば、中国は人民元レート切り上げによって得られる利益が自ずと失われることになり、かなりの損失が見込まれる。こういった受動的な状況において、中国はやむをえず2年も停滞していた人民元レートの小幅切り上げを許可したのである。人民元レートの切り上げは中国にとって必ずしも悪いこととは言えないが、大国としては、圧力に屈して切り上げを余儀なくされたとなると、面子を失うに等しい。
米国の台湾への武器輸出により、米中の軍事交流が中断した。そればかりではなく、中国はまた武器輸出に関与する米国企業に制裁措置を講じると脅している。しかし、軍事交流の停止は中国にとってもマイナスであり、制裁するなどと言っても行動には移れない。なぜなら、制裁はWTOの関連協定違反だからである。米国は協定に基づいて正々堂々と中国の制裁に反撃できる。
中国は、脅した当初は考えも及ばなかったようだが、結局、ジレンマに陥っている。一方、米国は少しも譲歩する姿勢を見せていない。中国との軍事交流の継続を望みつつも、従来の台湾への武器輸出の方針を堅持し続けている。この軍事面での摩擦において、中国側が得たものは何もない。悔しさが残っただけである。
米ロの関係改善に対し、中国はずっと警戒している。とりわけ、オバマ大統領がロシアのメドベージェフ大統領をハンバーガー店の昼食に招待したことで、米ロの調和関係をアピールしたことは、目障りそのものである。ロシア大統領の訪米直後に、ロシアの10人のスパイが逮捕された。それを見て、中国のメディアは非常に興奮し、米ロ関係はこれで冷戦時代に立ち返るに違いないとした。しかし、米政府は事を淡々と処理し、メドベージェフ大統領もこの事件が両国の関係改善に影響を及ぼすことはないとコメントした。このような予想外の展開に対し、中国のメディアは一時とまどい、なすすべを知らず、沈黙していた。中共は、米ロの関係悪化により、昨今の中国の国際社会における苦しい立場が一変するよう望んだが、結局、そう簡単にはいかないようである。