【大紀元日本7月14日】今月はじめ、中国の鉄鋼大手・鞍山鋼鉄集団が米国ミシシッピ州の鉄鋼会社に投資する計画に、米超党派議員50人が連名書簡で反対、政府に調査を要求したことが報道された。中国の国有企業の海外進出が急ピッチで進められているが、その多くが難航している。進出企業の「政府色」に各国が警戒しているようだ。
鞍山鋼鉄集団は上海宝鋼集団に次ぐ業界2位の大手国有企業。今年5月、米スチール・ディベロップメントとの業務提携計画が明らかになったが、議員団は米国の国家安全保障へのリスクを懸念し、調査するよう書簡で要請した経緯があった。
鞍山鋼鉄集団以外にも、中国の国有企業の海外における合併と買収は順調に進んでいない。05年に、中国海洋石油が米石油会社・ユノカルの買収を図った際にも、米議会が阻止に動いたことから、中国海洋石油は買収から撤退していた。また、昨年、中国アルミと英豪系資源大手のリオ・ティントの戦略提携が破談に終わった。
中国当局主導の「政府色」が濃厚な国有企業との連携は、自国経済にも中国政府色が浸透してしまうのではないかとの警戒感が、国有企業の海外進出の難航につながっていると、米VOA放送が11日付けの報道で分析した。国有企業との連携は、企業間の単なる商業活動ではなく、中国政府との取引きだと認識されがちだという。
同報道は、北京大学経済観察研究センター代表・仲大軍氏の話を引用し、「国有企業の商業活動は政府の意図を反映する部分もあるため、時に市場原理を度外視する」と指摘した。その濃厚な「政府色」があるからこそ、潤沢な資本力が誇れるわけで、外国企業はその魅力的な資本力に引かれつつも、中国の「政府色」に染まるのを懸念している、と分析した。
一方、鞍山鋼鉄集団の米国投資が米議会の反対に遭ったことに対し、5日、中国鉄鋼工業協会秘書長・戚向東氏は、鞍山鋼鉄集団は上場企業であり、一昔の国有企業とは体質が違うとコメントした。
これに対し、北京大学経済学院の元教授・商徳文氏は「国有企業は体制の改革を試みたが、根本的な2本足の体制は変わっていない。2本足の片方は、一般企業と同様に取締役と社長による会社運営の体制であり、もう片方は中国共産党の組織で、それを通じて政府のコントロールを実現する体制である」と指摘した。「大きな政治体制の改革を行わない限り、小手先の改革では、国有企業の性質は変わることがない」と同氏は述べた。
同氏も、中国企業が海外に進出する道のりは平坦ではないと指摘、その原因は、政府にコントロールされているためだとしている。
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