【大紀元日本6月28日】G20に参加する中国の胡錦濤国家主席は23日午後、他国の首脳より一足先に、300人の経済貿易代表団を率いてカナダの首都オタワに着いた。到着する数時間前に、オタワを震源地とするM5.0の地震が起き、都市の一部施設が破壊された。1998年以来カナダで初のM5.0以上の記録として、国中を震撼させた。
一方、胡主席が到着後も、見せ掛けの歓迎活動や首脳会談の記者会見取り消しなど一連のスキャンダルが発生し、カナダの世論を揺さぶった。
24日のハーパー首相との首脳会談でいくつかの協議を締結したにもかかわらず、会談後予定されていた共同記者会見が取り消された。その理由について、マルルーニー前首相時の閣僚であったノーマンスペクター氏は、カナダ全国紙「グローブ・アンド・メール(the Globe and Mail)」に寄せた記事で、「記者会見に、北京当局が憎む2つのメディア、エポックタイムズ(大紀元新聞紙)とNTDTV(新唐人テレビ局)が参加することを中国大使館が恐れていたからだ」と書いている。
大紀元時報と新唐人テレビは、北京政権のコントロールや情報検閲を受けず中国の真実の情報をリアルタイムに国内外に伝えることに務める独立派中国語メディア。ニューヨークに本部を置き、世界各地に支社や取材拠点を設けている。カナダでは中国語版と英語版を発行している。
胡主席が到着する前日、カナダの安全情報局のリチャード・ファーデン総監は、一部の政府高層官僚が北京当局に浸透されていると、カナダのCBCテレビのインタビューで話した。少なくともカナダの2つの州で、長官らは外国政府のコントロールを受けていると同氏が明らかにし、中国政府の名を挙げた。また、ブリティッシュコロンビア州の複数の都市の政府公務員もその疑いの対象であると明らかにした。
「記者会見ではこの問題についてきっと聞かれると思う」とカナダCTVの政治記者グレイグ・オリバーが話す。
同記者会見の取り消しについて、カナダ国会記者団のヘレーネ・バジェッティ総裁は、フランス語メディア「Le Devoir」紙に文章を掲載、その経緯を明らかにした。それによると、胡錦濤・総書記の今回のカナダ公式訪問の数週間前に、駐オタワの中国大使館はカナダ国会記者団に対し、首脳共同記者会見にその会員である新唐人テレビと大紀元時報の参加禁止を要求してきた。国会記者団はその要求を拒否した。
その後、予定されていた首脳共同記者会見が取り消しとなった。そのかわりに、非常に短時間のごく一部のメディア限定の撮影会が設けられたが、一切の記者質問を受け付けなかった。
カナダのハーパー首相の報道官や中国政府関係者は、両国首脳共同記者会見の取り消しなど一連のメディア対応について反応を示していないが、カナダの主要紙「トロント・スター」は、首脳たちは記者団からの関連の厳しい質問を回避できたのではないか、と報じた。
新唐人テレビカナダ支局の王紹久・総裁はトロント・スター紙に対し、24日の撮影会および胡錦濤・総書記の短時間の公開活動に、同局の記者の参加が拒否されたことを明らかにし、大紀元時報の記者も同様な処遇に遭ったという。
新唐人テレビ本部のスポークスマンのケーリー・ホワン氏は、「我々は以前にも同様な事例にあった。国連での取材活動を申請する場合、それに中国政府関係者が参加するならば、私たちの申請は決まって拒否されてきた」と明らかにした。
2005年の胡錦濤・総書記のカナダ訪問中にも、新唐人テレビと大紀元時報は取材禁止措置を受けた。後に、カナダ紙「グローブ・アンド・メール」はその件に関する社説を発表、「悪事をたくさん行い、大量の事実を隠そうとする政権のみがそんなにも記者を恐れる」と評した。
一方、大紀元時報は23日、駐カナダの中国大使館の内部激励会の録音テープを公表した。大使館教育部の一等秘書官・劉少華氏が中国人留学生を対象に、総書記訪問中の歓迎活動への参加を要求する内容である。その中で、大使館が参加者全員の宿泊代や食事代などの費用を全額負担するほか、理由なき不参加を禁止するなどと明言した。本紙のこの報道をカナダ主要紙が紹介、世論への影響が広がっている。
また、歓迎活動を「祖国の栄誉を守るための『政治的な戦い』である」とし、抗議団体の声を制して、抗議者の姿を胡錦濤・総書記に見せないため、大量の参加者を必要するとも激励した。
中国代表団が滞在するオタワのウエスティンホテルでは、正面入り口を囲んで2メートルの高さの塀が臨時に建てられた。それにより、ここで上下車する胡錦濤・総書記一行からは、周辺にいる抗議団体が見えなくなる。同ホテルの総支配人はメディアに対し、この塀の建設費用は実質上中国側が負担すると説明した。
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