報道の自由、「ミニブログに期待」 中国メディア関係者、香港でシンポジウム

2010/05/06
更新: 2010/05/06

【大紀元日本5月6日】中国のインターネットと報道の自由に関するシンポジウムがこのほど、香港大学で開かれた。中国各地のメディア関係者が参加し、自らが体験した葛藤と苦悩を明かす参加者もいた。パネリストらによると、中国では最近、ツイッターのような「ミニブログ」が現れ、新たな情報源としてメディアへの影響が大きいという。

また、08年に起きたメラミン入り粉ミルク事件では、報道差し止めを狙うメーカー側がメディアの買収を試みたが、失敗に終わった裏話などが明かされた。

同シンポジウムは、香港大学と「米国東西研究センター」が共同で主催した。

ミニブログは重要な情報ルート

広州市の有力紙「南方都市報」の編集者・_deng_志新氏は、中国では「ミニブログ」が人気上昇中であると話す。ミニブログはニュースの手がかりを探す重要なルートであり、毎日欠かさずチェックしているという。その情報の真偽を判断するのも、それほど難しくはないと鄭氏は話す。

_deng_氏によると、中国の著名な芸術家で、人権活動家でもある艾未未(アイ・ウェイウェイ)氏も、ブログを利用して功績をあげた一人。艾氏はブログで情報収集しながら、四川大地震で校舎の倒壊により死亡した5千人以上の生徒の名前を集めた。中国では、ミニブログを活用するメディア関係者が多いという。

時評から意識変革を

複数の中国国内紙に評論文を提供する「南開大学」新聞学部の熊培雲・副教授は、炭鉱事故や家屋強制移転などの社会問題が頻発する中、挫折や無力感を覚え、評論文の作成を控える時期もあったと話す。しかし、社会問題を指摘する評論が政権に届かなくても、一般大衆の意識の変革を促すことができると悟ったという。

また、以前は知識人が社会の前進に重要な役割を担っていたが、今では無数のインターネット利用者がいろいろな情報を交換しており、これがある程度、報道の自由を促進していると話す。

「金銭の誘惑」とメディアの良識

上海紙「新民週刊」の編集者・胡展奮氏は、メディアは「金銭の誘惑」に直面することもあると言及。乳幼児用粉ミルクにメラミンが混入された「毒粉ミルク事件」の発覚当時、メーカーである河北省の「三鹿グループ」が、事件を突き止めた「東方早報」に大金と引き換えに報道の差し止めを要求。しかし、メディアの良識から買収を断り、同紙は早い段階で同事件を報じたという。

シンポジウムの参加者らは、報道の自由を促進し、メディアが社会の監督者となれるよう、中国のインターネットに強い期待を寄せていると話した。

一方、参加者たちの観点について、国内外の中国人ネットユーザーらがフィードバックを寄せた。「インターネットは狂大王(共産党を隠喩する表現)を埋葬する武器であり、毎日随時にそれを使って墓掘りの行動を行っている」とインターネットの政治影響力を肯定しながらも、「中国共産党政権管理下のミニブログは使い道にならない。私の発言は毎日削除されている」、「ミニブログの影響力は限られている。敏感な情報を発信するのは難しい」などの意見も出され、中国国内でのミニブログは当局に厳しく制限されているため、影響力は限られているとの指摘もある。

(翻訳編集・叶子)