【大紀元日本11月16日】中国では官民対立や民衆暴動が頻発している中、中国共産党(中共)中央軍事委員会はこのほど、「突発事件における軍隊の緊急対策草案」を発表し、中国社会における重大突発事件発生時における軍隊の出動と対応に明確な規定を設けた。国内で昨年起きた暴動などの抗議活動は8万7千件に上り、毎年20パーセント近くの勢いで増加していることから地元警察や武装警察の処理能力を超える場合もあるようだ。専門家らによると、中国当局は政局安定のために軍隊を利用しており、今回の方策案の発表は国内の深刻な政情不安を反映しているという。
新華社の報道によると、同草案は、軍隊はこれから対応する重大な突発事件は、軍事衝突、地方治安と社会安定の維持、大型テロ破壊事件、災害時の救助及び公共安全突発事件など5つの状況下であると規定した。軍隊が社会の突発事件の応対に参与する正式の規定は今回が初めて。これまでに、軍隊は洪水や自然災害時に緊急措置として救済活動の参加が殆どであるとし、「六四天安門事件」は特例であるという。
米在住の政治ウオッチャーの方覚氏は、中国でここ数年間における社会的抗議活動が著しく増加したため、地方警察、武装警察はこれらの抗議活動に対処する能力が不足しているとし、この方策案を作成しなければならない背景には、非常に大きな不安定要素が中国社会に存在していると分析した。
米社会学者・劉暁竹氏は今回の方策案について、中共は抗議活動に対応するためにすでに多くの武装警察隊を設置しているが、軍隊は本来外部からの攻撃に対処するものであり、中国国内の政情不安が深刻化しており、政局安定を維持するために借り出されたと分析し、今回の方策案の提出は「尋常ではない」との見解を示した。
中共当局の報道によると、中央軍事委員会の方策案の中では、軍隊側は突発事件発生に対して「先行処理」が認められ、師団級軍事部門の場合は、級・部を越えて、直接指揮や処理ができるという。
これに対して、方氏は、これまでに中国軍隊の調達は中央軍事委員会の批准が必要だったが、中国軍事指示系統の改革が行われていると同時に、突発性及び不測の事件対応に同草案を考えたのではないかとの見解を示した。
一方、劉氏は軍事部門の自主的行動における権力の行使力が強まることにより、極端な行動で重大な局面をもたらすのではないかと懸念を示している。
草案では、虚偽報道と猜疑からもたらす社会不安を避けるために、突発事件発生の際、突発事件処理に関与する軍事部門は直ちに情報を公開すべきであると強調している。
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