中国自動車産業 海外進出を図る

2006/08/16
更新: 2006/08/16

【大紀元日本8月16日】中国政府の支持を受け、中国国内の自動車メーカーは海外マーケットへの進出を目指して、独自ブランドの開発に努めている。海外への進出を成功させるため、各社は、海外のトップ自動車メーカーから優秀かつ経験豊富な人材のヘッドハンティングに注力している。

海外メーカーの人材をヘッドハンティング

ビジネス・ウィーク誌の6月19日付けの報道によると、中国自動車メーカーの奇瑞(Chery)汽車は米国の自動車販売輸入会社であるビジョナリー・ビークルズ(Visionary Vehicles)社と販売契約をし、自社製品を欧米マーケットに輸出しようと図った。また、奇瑞汽車は数名の元フォード自動車の幹部を招いて研究開発部門の責任者に当てたほか、ダイムラークライスラー(DAIMLER-CHRYSLER)社の経営幹部に海外事業部門を任せた。

BMW社との合併会社である中国瀋陽にある華晨汽車公司(Brilliance Auto)もすでに元ダイムラークライスラー社重役に研究開発センターの責任者にした。中国杭州にある、今年1月にアメリカのデトロイトで開催されたモーターショーに出展した唯一の中国自動車メーカーだった吉利(Geely)汽車は元大宇(Daewoo)自動車の経営幹部に研究開発部門の管理を任せた。そして、上海自動車工業総公司(SAIC)は、高給を条件に元GM中国の会長であるフィリップ・マートフ氏をスカウトした。マートフ氏はSAICの海外事業部門を担当する予定だという。

独自ブランドの開発を急ぐ

SAIC社は、フォルクスワーゲン社やGM社との合併会社だ。従来自動車部品を主に生産してきたSAIC社は、部品以外に将来自動車を海外に輸出するために自社ブランドの開発及びブランドのイメージアップに努めている。

GM社で32年間勤務した経験を持つマートフ氏は、「これからの更なる発展と成長のために、SAIC社は外国企業との合併関係にもはや依存してはならないと認識するべきだ。必ず変えなければならない。…これからSAIC社の副CEOとして勤める私の任務というのは、SAIC社をグローバル競争力のある企業を育てていくことだ。」 と話した。

自動車部品を生産する亜新科工業技術有限公司(Asimco TechnologiesChina.LTD)の会長兼CEOであるジャック・パークワスキー氏は、「あらゆる中国の自動車メーカーにとって、自社に外資が注入されているか否かに関係せずに、各自のブランドを確立し展開していくべきだと思う」と述べた。

SAIC社は今年4月に、自社ブランドを開発し確立するために、将来5年間に約17億米ドルを投資に費やすと発表した(ただブランド名がまだ定められていないようだ)。同社によると、早ければ来年に自社の生産した自動車をユーロ圏に輸出することができるという。SAIC社のスポークスマンのアンディ・チン(Andy Chen)氏は「われわれはまず製品の品質及びサービス水準が国際レベルに達しなければならない。それができなければ、欧米市場に進出することが難しいだろう」と話した。

SAIC社の製造部門に属する自動車デザイナーや技術者は約700人。これに対して、チン氏は「われわれは千名以上の優秀な専門技術者を有する研究設計グループを設立したいと考えている。最終目的は2015年までに、上海で4千名以上の技術者グループ及び世界トップレベルに匹敵する研究開発センターを設立すること」 と話した。

製品の品質向上に注力しているのはSAIC社だけではなかった。たとえば、以前華晨汽車が生産した小型トラックや中華(Zhonghua)乗用車を含めた自動車には品質がよくなかったため、売り上げに影響し業績が悪かった。品質を向上させるために、華晨汽車はダイムラークライスラーの元重役であるフランク・チョウ(Frank Zhao)氏をスカウトし、チョウ氏に製造部門と研究開発部門への指揮を握らせた。

フランク・チョウ氏は着任後すぐに華晨汽車の製品の欠点や品質問題に着手した。彼はそれらの問題を解決しただけではなくて、顧客ニーズや市場の変化に合わせて、省エネルギー自動車である駿捷(Junjie)を開発した。 「製品を改善し品質を向上するのに、われわれは海外の専門家だけに依存しないように努力している。なぜなら、問題が発生した際、海外の専門家が即時に駆け付けることができないからだ。 中華(Zhonghua)自動車の車体は海外の技術者がデザインーしたものだ。とても美しい。ただ、われわれが中国国内で「中華」車を展開していくにはさまざまな問題に直面するだろう。しかも、それらの問題を解決できる技術者の人数はかなり少ない」とチョウ氏が言った。また、彼は駿捷について「私が華晨汽車に入ってから新しい研究開発センターを設立した。駿捷はまさに新しい研究開発チームが生み出した完璧な自動車だ」と満足に話した。華晨汽車の駿捷ブランドは中国で成功を収めた。最近自動車販売代理店からの注文は約一万台という。

(記者・呉英)