【大紀元日本8月4日】香港政府が全額出資するメディア・香港ラジオはこのほど、民営化を求める動きを始めている。香港が中国に返還された後、報道の独立性を主張し続けてきた香港ラジオは、政府の声を代弁することが要求され、強い圧力に耐えてきた経緯がある。このような状況の中、同ラジオ局は報道の独立性を保つため、自ら民営化企業に転進することを提案した。香港のメディア専門家は、これは苦渋の決断と分析した。
9年前の1997年、香港が中国に返還された後、香港ラジオは幾度も政治的に敏感な問題を報道し、親中派の強い不満を招いた。1999年、香港ラジオは、台湾駐香港事務局の代表者・鄭安国氏を招き、台湾の李登輝元総統が提案していた「両国論」について議論を交わした。そのことが中共政権に猛烈に批判された。後に、報道部の部長・張敏儀氏は香港特別行政区のトップと意見が合わないため、左遷された経緯もあった。香港の親中派は、「同ラジオ局が政府に養われていながら、政府を罵倒している」と批判し続けてきた。今回、同ラジオ局による民営化の提案を受け、香港特別行政区政府は、香港ラジオの去就問題を論じるため諮問委員会を結成した。
香港ラジオは政府機構であり、その責任者と300人あまりの主要報道関係者は全員公務員。長い間英国BBCの運営方式を用いてきた。すなわち、財政上政府から運営資金を得ていたが、報道業務については完全独立の権限を有していた。
香港ラジオの民営化を検討する諮問委員会は、今年年初から正式な調査と研究に着手し、来年の年初に答申を提出する予定。諮問委員会が正式な結論とアドバイスを出す前に、今回、「香港ラジオ」は先駆けて、政府から離脱し、民営化する意向を表明する声明を出した。
「香港ラジオ」の副局長・ダイ健文氏は、8月1日に香港立法会で民営化の提案を具申したことに触れ、「我々は政府から離脱して、独立する報道メディアになることを要求した。この新しく創立される報道メディアは、法的基準を満たし、創立に関して、全ての法律を遵守すべきだ」 と述べた。
香港の城市大学の報道学部の何舟・教授は、香港ラジオが自ら民営化を提案したのは、(中共政権からの)圧力に対処するために、迫られた一種の対抗措置であると指摘、この決断は、同ラジオ局の関係者たちが経済リスクを背負っても、政府の宣伝道具になりたくない決意の表れと分析、公正かつ独立の報道を堅持するために、関係者らが窮地に立たされた苦渋の決断であるとの見解を示した。