【大紀元日本7月19日】対北朝鮮消息筋と中国言論によれば、北朝鮮の水害状況が 95~97年当時の洪水に比肩されている。16日の朝鮮中央TVに出演した中央水門管理国ゾン・グリョングウ副所長は、「大同江(平壌経由)上流の地方に降った豪雨は、90年以後最大」と言った。
95~97年の大洪水、大量餓死の2次原因、北朝鮮の慢性的な食糧難は、金正日政権が営農改革をしないところに根本原因がある。集団営農制を中国、ベトナムのように改革しても食糧難は解消される。
しかし 90年代中盤の水害騷動は、このような慢性的食糧難に泣き面に蜂だった。
94年から始まった大洪水は、その年の穀物生産量を大きく減少させた。多くの雨が降ると、山間地帯の段々畑が崩れて流され、多くの田畑が浸水した。
旧態依然とした農法のため、農地がもう酸性化された状態で集中豪雨にさらされた山間地域のとうもろこしの生育も思わしく、町歩(3000坪)当たり、とうもろこし取れ高は 0.5トンなど最悪の生産量を記録した。
大洪水は 95年と 97年まで、年例行事のようにやって来た。95年に新義州地方に降った大洪水は、川辺堤防に立っている 高さ6mの白楊木まで、すべて浸水するほど深刻だった。
北朝鮮政府は食糧難の原因を自然災害のせいにするため、当時の状況を取った映像物を直接放送したりした。続けざまに襲われた3年の洪水で、北朝鮮の穀物生産は毎年減った。生産されたわずかな穀物は、人民軍と権力機関の口に入り、住民たちは草根と木根を食べた。
北朝鮮が毎年雨被害の大きい理由は、禿山で川底が高いからだ。人々は焚き物と畑を掘り起こすために、木を大量に切り出し、全国の山を赤肌にしてしまった。
北朝鮮は北に行くほど標高が高く、川の上流と下流の間では流れが急だ。一旦大水が出れば、急流になるので土壌遺失が大きい。
毎年高くなる川底も問題だ。川底を(さらって)低めるのを含めた河川管理を適切に行わず、大雨が一日だけ降っても、川水が氾濫して近隣農耕地を侵食するようになる。
月日は10年以上流れたが、今の状況は当時と同じである。赤肌になった山に植樹運動をしたが、毎年不足する食糧を生産するために、住民たちはいまだに畑を耕作している。
政府は食糧難時期に、住民たちに 3年の間木を栽培しながら穀物を育て、木が伸びた後には穀物を植えることができないように統制した。この政策が出ると住民たちは一方では木を植える一方、再び引き抜く方法で畑を耕作した。
政府の指導には従わねばならないし、食べて活き、暮さなければならない酷い矛盾だ。穀物の成長に木の枝が邪魔になると、それ以上育つことができないようにしっかり縛っておいて、陰を形成するほど木が伸びれば抜いてしまって新しい苗木を植えた。
このような悪循環が繰り返されて見ると、10年が経過した今も、山はそのまま赤肌として残っている。
洪水被害により、金正日政権の態度に変化が見られたが、「言い訳」になる(と思った)首都当局は、90年代中盤に農業が亡びても、金正日政権は、「体面」のため国際社会に適時の緊急要請をしなかった。
これにより、さらに多くの餓死者が出た。
その後、南韓と米国、WFP など国際社会が提供する援助食糧で、北朝鮮は毎年不足する食糧の輸血を受けながら今まで堪えて来た。
90年代後半、北朝鮮は国際社会の助けを借りたが、今はそうではない。ミサイル発射による、国連安保理決議に北朝鮮政府が強力反撥しているからだ。しかし今度の豪雨を国連決議案に強硬対応する金正日政権の足元を掬う要因と見る向きもある。
これと関連して、国政院出身の対北朝鮮専門家は 、「安保理決議でコーナーに追い込まれた金正日が、今度は水害を言い訳にして、米国が申し出たら話し合いに応じると出るかもしれない」という認識を示した。
今回の水害が、国連決議案に反撥する金正日政権にどんなに作用をするか時間をかけて見る必要がある。