【大紀元日本6月3日】中国国内で250億人民元(日本円約3500億円)の資金を横領し、脱税と密貿易で巨万の富を築き、その後カナダに逃亡した頼昌星・容疑者について、カナダ政府は同容疑者の中国への強制送還を決定したが、カナダ連邦裁判所は6月1日、容疑者による強制送還の先送りの申請を受理、カナダ政府の決定について、再度司法審理を行うことを決定した。背景には、同容疑者が中共政権から死刑判決を下される可能性が高いと主張しているからであるとみられる。
カナダ連邦裁判所のスティーブンソン裁判官は6月1日、同容疑者の強制送還の先送りの申請を受理、再度カナダ政府の決定を司法審理すると決めた。この裁決の理由については、 「移民部が下した容疑者が中国に強制送還された後に、処刑される危険性がないとの結論を、疑問視すべき。今の時期に強制送還を執行すれば、本来行うべき司法審理ができなくなり、当事者にとって不公平である。強制送還の延期執行は、カナダの国民利益と国家安全を脅かすことがない。6月2日に執行予定の強制送還を先送り、連邦裁判所で再度審理を行い、強制送還するかどうかを決定する」とした。
頼昌星・容疑者の代理弁護士マタス氏によると、これらの司法審理には約6ヶ月から9ヶ月の時間が必要で、勝訴すれば、容疑者がカナダでの永住を申請でき、敗訴すれば、強制送還される可能性があるという。
強制送還を執行するカナダ関係政府部門は、連邦裁判所の裁決を尊重すると表明、中国駐カナダ大使館は、この裁決のコメントを拒否した。
トロントやオタワに在住する華人の間では、同容疑者の中国への強制送還の先送りは、中国国内での汚職犯罪の取り締まりにマイナスな影響を与え、カナダの国際イメージを損うと懸念する声が上がっている。
頼昌星・容疑者は1999年国内告発を逃れカナダに逃亡し、カナダ移民局に2度「移民申請」したが却下された。また、同容疑者の汚職犯罪は、中共最高指導部と複雑な政治と経済関連があると見られ、強制送還について、喜ぶ人もいれば、火の粉が自分にかかることを憂慮する人もいる。一方、中共政権はカナダ政府に対し、同容疑者を処刑しないことを保証している。