【大紀元日本3月24日】中国大陸の農民たちは、地方政府による汚職、強制的な土地収用に長い間耐えてきた。地方官僚の傍若無人ぶりは既に許容範囲を超え、怒りを募らせる農民は、中央政府に望みを託して北京へ直訴に出かける。中共が約束した「農民の生活改善」も全く実現せず、困窮した農民の怒りは既に頂点に達している。求心力を失った中央政府には、もはや彼らを抑えることはできないだろう。
「タイム」誌アジア版13日付けの報道によると、地方での農民による抗議活動は日増しに激しさを増し、その頻度は前例がないほどで、北京はすでに、この状況を抑えきれないようだ。中国共産党が発表した統計によると、2005年に87,000件の所謂「公共秩序を撹乱する」事件が発生し、1994年の10,000件より大幅に上昇している。事件の大部分は地方の農村で起きている。歪んだ経済モデルを基に急成長した中国社会の、負の部分を押し付けられた9億人の中国農民は、抗議活動で自分の権利を訴えるしか方法がない。彼らには、自分たちを守るための法律と政治権力がないのだ。
山東省の東部にある劉家溝(音訳:リュウ・ジャ・ゴー)村の農民は、地方政府の幹部から、果物や野菜を栽培している土地を徴収すると知らされた。しかし、村の委員会が提供する補償金が少ないことを知った村民は、土地収用を拒絶した。その後数ヶ月以内に、ブルドーザーが敷地内に進入し、何十年も作ってきたぶどう園と果樹園をなぎ倒した。ある村民の話によると、彼はレンガで民家の窓を割る音で目覚め、村民数人が殴られたという。今年1月、62歳の劉(Liu Yinde)さんは、地方官僚による違法行為を詳しく書いた請願書を持って、青島市政府へ賠償を求めに行った。しかし、劉さんの話によると、彼は駅でチンピラ風の男たちに捕らえられ、劉さんが持っていた請願書は破り捨てられた。更に、劉さんはホテルに8日間も監禁されたという。結局、劉さんは請願書を提出することができなかった。
農民ができることは極めて少ない。中国共産党の司法制度は極端に遅れており、農民たちは不法な土地収用あるいは地方官僚の腐敗に抗議するための手立てがないのだ。更に問題を複雑にしているのは、中国の裁判官が地方政府から雇われていることで、司法の独立がなければ、たとえ官僚の違法行為を訴えても、農民に勝ち目はない。
中国農民の生活も悲惨である。中共政府は、医療、福祉、教育費などの責任を地方政府に任せているが、財源不足の地方政府は福祉へ資金投入せず、もっと短期的に儲かる事業投資に専念している。中国衛生部によると、中国総人口の70%を占める地方住民に対して、国家の医療福祉予算は20%しか充当されていない。中国教育部によると、2004年、305の県で初等、中等教育のための教育費が支払われていなかった。最低限の社会保障も受けられない農民は、自分たちの収入ですべてを賄う。中国衛生省の発表によると、22%の農民が病気、けがの治療費が貧困の原因だと答えている。
苦しい生活、そして官僚からの圧力に、多くの農民は怒りを募らせている。リ・サン(Lishan)村の梁(liang Beidai)さんも、政府に対する抗議活動の準備中である。地方政府による土地収用に抗議した先月、3名のリ・サン村の住民が重傷を負い、高校生ひとりが頭を銃で撃たれた。梁さんは「私たちの権利のために、死ぬ覚悟は出来ている」、「村は全部壊された。私たちにはお金もなく、仕事もなく、土地もない。これ以上、恐れることは何もない」と話した。
怒りを爆発させた農民たちが、恐れるものもなければ、今度は中共が恐れる番だ。中共には、もはや、彼らを抑えつけることはできない。