中共五中総会、政治改革に触れず

2005/10/16
更新: 2005/10/16

【大紀元日本10月16日】中国共産党十六期中央委員会第五回総会は12日、北京で閉幕した。会議は、第11次五ヵ年計画を採択し、発展に関する従来の考えの転換、社会的不公平の是正、貧富格差の縮小、農民の収入の増加などが向こう五年間の目標として計画に盛り込まれが、新しい五ヵ年計画の中で急務とされている政治改革に触れておらず、現行の体制下では目下の社会問題を解決することができないと分析家は厳しい目で五中総会の結果を分析した。VOA(ヴォイス・オブ・アメリカ)が伝えた。

今回の五中総会は中国共産党総書記胡錦濤が前任者江沢民から権力を受け継いだ後、はじめて中央委員会の全体会議で指揮を執った。胡錦濤総書記の新しい動きが注目されているだけあって、総会コミュニケが発表後、新味のない内容に分析家はがっかりしているようだ。

計画を規画に変更へ

北京大学経済学院の商徳文教授は総会コミュニケの中に新しいものはないと今回の総会を評価しない態度を見せた。商教授は、五ヵ年計画を五ヵ年規画に言い換え、計画経済と決裂する姿勢が見られ、これは新しいものと言えると述べた。

しかし、貧富の格差など社会的不公平の是正が討議内容に盛り込まれたが、これらの目標を実現させるための具体的な措置を打ち出していない。中央政府にいくらかの補助金を出す用意があろうが、根本的な問題解決につながらないと商教授は分析している。

また、元中国社会科学院の研究者包遵信は、社会的不公平の是正を討議内容に盛り込んだのは、これが現在の中国社会で極めて突出している問題であり、避けて通れない問題になっているからだと指摘した。しかし、肝心な政治改革についてまったく触れず、民意を汲み取る姿勢を見せ、これらの社会問題を解決する意向を示すためのパフォーマンスに過ぎないと厳しい見解を示した。

2004年、抗議事件7万件

中国政府の集計によると、2004年一年で7万件に上る抗議事件が起こり、少なくとも300万人が抗議に参加したという。香港の時事雑誌「開放」の編集長蔡咏梅は取材の中で、中国共産党の上層部は中国社会が深刻な社会危機に晒されていることに気づいていると述べた。蔡編集長によると、過去20年間の経済高度成長から大多数の中国人は利益を得られなかった。社会資源の再分配の過程に、わずかな一部の人は権益を取得し、夥しい数の農民と大都市の発展を支えてきた出稼ぎ者はピラミッドの最下層を構成している。

蔡編集長は、総会コミュニケを見る限り、中共の指導者は権力で権益を取得した共産党幹部を規制する意思は見られなかったとコメントした。権力の経済発展に及ぼす影響は実は政治体制と関係しており、コミュニケに政治改革をまったく触れなかったことから、中国政府が一党独裁の政治体制にメスを入れる用意はないと見ている。社会的不公平の問題は提起されたものの、中国政府はこの問題を真剣に取り組む姿勢はないと蔡氏は指摘した。

太石村事件のとき、温家宝首相は広東省にいた

同編集長によると、五中総会の最中に、中国南部で広東省太石村村民が腐敗幹部の罷免を求める運動が起きた。しかし、ピラミッドの最下層にいる農民らの合法的権利を求める行動に中国政府はまったく感心を示さなかった。抗議活動に参加した村民とその支援者は殴打され、重傷を負う人身事故まで起きた。

太石村事件が発生したとき、温家宝首相はちょうど広東省を視察していた。しかし、広東省の幹部らは憚ることなく抗議活動を鎮圧した。「後ろに共産党制度があるから」と蔡編集長は事件を分析し、「腐敗の事実があることを知っているにもかかわらず、政権を守るために不公平を放任することを選んだ。腐敗幹部を守るまで政権の維持を図ろうとしている」と現在の中国社会を鋭く洞察した。

ウォールストリートタイムズは、中国政府は珍しく現在の社会危機を認めたと報じ、高額の投資と高度の消費および低い産出というサイクルに乗ってきた中国経済はすでに行き詰ったと分析家の話を引用した。